介護業界のスペシャリストとも言われるケアマネ(ケアマネージャー)ですが、その業務は要介護者のケアプラン作りからデイサービス選びに至るまで幅広い任務が課せられています。
しかし要介護者の応対や勤務時間などは比較的、自分の都合で決めることができるため業界でも自由度が高く、自身のライフスタイルが守れると評判も高いようです。
この記事では、一般介護職員が目指すケアマネとはどんな存在なのか、また、ケアマネが選ぶデイサービスの基準12選を紹介しています。
ケアマネとは
ケアマネは正式名を「介護支援専門員」と言い、各都道府県が管理する公的資格です。
介護に携わる人なら誰もが憧れるケアマネですが、いったいどんな仕事内容なのでしょう。
ケアマネの仕事
ケアマネは要介護認定のための調査を行うことがあるので介護に必要な判断力が求められます。
要介護になった高齢者は介護保険サービスを利用することができますが、そのケアプランを作成するのもケアマネです。
要介護者に適切なケアプランを作成する際は、どのようなサービスが必要なのかを把握しサポートもしていきます。
その後も、作成したケアプランが要介護者に合ったプランなのかどうか、順調に進んでいるのかを確認。
また、要介護者の経済状況が困窮している場合は生活保護申請の手助けをすることもあります。
このように、要介護者がより良い介護保険サービスを受けられるように、あらゆる方向から解決に結びつけるのがケアマネの主な仕事内容です。
ケアマネはどこにいる?
ケアマネが在籍しているのは、地域包括支援センターや介護サービスを行っている居宅介護支援事業所などです。
介護が必要になった高齢者に要介護認定が下りると、ケアマネのいる窓口を紹介してくれるので最寄りの福祉事務所や地域包括センター、またはかかり付け医に相談してみましょう。
近所に介護保険サービスを利用している高齢者がいたら、その方やご家族に聞いてみるのも評判が聞けて良いかもしれませんね。
ケアマネの職種
介護業界のケアマネですが、働く場所によって仕事の内容や任務も変わってくるようです。
どのように変わってくるのでしょう。
施設ケアマネ
施設ケアマネとは、老人ホームなどの入居介護施設で働くケアマネのことを言います。
施設ケアマネの主な業務は老人ホームなどに居宅しているご利用者様のケアプラン作成など、入居している要介護者のケアマネジメントです。
ご利用者様が生活している施設が勤務地となるので普段の様子を間近で見られるというメリットがありますが、施設の規模が大きいとたくさんのご利用者様を担当しなければならないデメリットもあります。
地域包括支援センターケアマネ
地域包括支援センターケアマネとは、通常のケアマネとは異なる仕事をするのが特徴的です。
地域包括支援センターでの仕事内容は地域の高齢者の介護予防をケアマネジメントすることがメインとなり、近隣の高齢者の介護問題の相談にも応じることもあるようです。
また、地域包括支援センターに勤務するケアマネは主任ケアマネであることが多く、通常のケアマネを統括する存在でもあります。
居宅介護ケアマネ
居宅介護ケアマネとは自宅で介護を受けている要介護者を担当しているケアマネです。
この場合は居宅介護支援事務所等に勤務しているケアマネになります。
居宅ケアマネはご利用者様のご自宅に訪問して聞き取りや相談に応じます。
介護を自宅で行っている高齢者が多いためかケアマネも居宅が多いようです。
そんな居宅介護のご利用者様におすすめするケアプランの1つにデイサービス(通所介護)がありますが、意外とデイサービスの行きたがらないご利用者様が多いのだとか。
実は、筆者の母も介護保険サービスを利用していてケアマネさんにデイサービスをすすめられたのですが、母はあまり乗り気ではありませんでした。
ところが、ケアマネさんは母にデイサービスに通うことのメリットを色々教えてくれて母が自ら望んでデイサービスに行くことができたのです。
ケアマネが選ぶデイサービスの基準12選
高齢者が要介護認定を受けてケアマネにケアプランを作ってもらうと、ほとんどの方がデイサービスをご利用になると思います。
デイサービスとは、居宅介護の要介護者が日中介護施設に通い介護サービスを受けることです。
しかし、要介護者であるご利用者様はデイサービスってどんなところなのか分かりませんよね。
ご家族に携帯やパソコンなどのインターネットで調べてもらえれば良いのですが、ほとんどの場合はケアマネが教えてくれる情報だけになるでしょう。
つまり、ご利用者様が快適な1日を過ごせるのかどうかがケアマネの力量で決まってしまうのです。
ケアマネはどんなことを基準にしてデイサービスを選ぶのでしょうか!
デイサービスの基準
- PTやOPなどの専門家がいるのか
- 個別に機能訓練を行っているのか
- 看護師が常在しているのか
- レクリエーションは充実しているのか
- 食事の内容
- 入浴はできるのか
- ご利用様の目的に合っているのか(費用も含めて)
- ご利用者様が楽しんでいるのか
- 認知症のご利用者様も対応してくれるのか
- 送迎はあるのか
- デイサービススタッフの対応
- ほかのケアマネからの口コミ
など
もちろん、これら全部が揃っているデイサービスを選ぶことは難しいでしょう。
しかし、ケアマネが厳しい基準で選んでくれたおかげで母は楽しくデイサービスに通うことができました!
ケアマネになるためには
先述にもあるように、ケアマネは正式名を「介護支援専門員」と言います。
「介護支援専門員」になるためには「介護支援専門員実務研修受講試験」に合格しなければなりません。
その受験資格が医療や保健、福祉などに携わる国家資格保有者であり実務経験が通算5年以上また従事日数も900日以上という条件があります。
また、上記の国家資格保有者でなくとも介護施設の各相談業務を通算5年以上の従事期間、900日以上の従事日数をこなしていれば受験資格が得られます。
ケアマネになることのメリット
給与アップ
「介護支援専門員」の資格を取るのはかなり難易度が高いと思われますが、介護業界のスペシャリストであるケアマネは給与のアップも期待できます。
出典:厚生労働省 第80表 介護従事者等の平均給与額等(月給の者),職種別,勤務形態別(処遇改善加算(Ⅰ)~(Ⅴ)を取得している事業所)
厚生労働省が発表した令和2年度「介護従事者処遇状況等調査結果」によると、介護支援専門員常勤の平均給与は357,850円、介護職員常勤の平均給与は315,850円、介護職員より42,000円も上回るのは大きな魅力ですよね。
また、ケアマネの給与は初めから高めに設定されているので「介護支援専門員」の価値は高いと評価できるでしょう。
2.夜勤がない
ケアマネの主な業務はご利用者様のケアプラン作成プラスαです。
居宅介護・地域包括支援センターケアマネの場合、夜勤はありません。
反対に夜勤で稼ぎたいという場合は施設ケアマネを希望すると良いでしょう。
その際は、介護職を兼務することもあるようです。
3.理想のケアプランを作成できる
ケアプラン作成も一般の介護職では、なかなかご利用者様に適切なプランを提案することはできません。
ケアマネだからこそ、ご利用者様のお気持ちに寄り添った理想的なケアプランを作成することができるのです。
介護職の醍醐味は何と言ってもご利用者様やご家族に喜んでもらえることではないでしょうか。
まとめ
この記事では、介護職のスペシャリストであるケアマネの仕事内容やケアマネが選ぶデイサービスの基準12選を紹介してきました。
現在は一般介護職でも、ケアマネにキャリアアップしたいと思っている人も多いのではないでしょうか。
そのためには「介護支援専門員実務研修受講試験」に合格しなければなりません。
その夢を叶えるためにも現在の業務で経験を積み、より多くの知識や技術を身に着けておくことをおすすめします。
数年後のあなたも介護業界のスペシャリストであるケアマネになって、介護する人も介護される人も笑顔にしてあげましょう!