退職届を提出した翌日から仕事に行かないのは合法?有給・即日退職・注意点を解説

この記事に書かれていること

無期雇用では退職の申し入れから原則2週間で契約が終わりますが、翌日から自己判断で出社しないと無断欠勤として扱われるおそれがあります。

有給休暇の取得、会社との合意、心身の不調による休暇という3つの方法と、無期・有期雇用ごとの退職ルールを解説します。

退職意思と日程の記録、引き継ぎ・貸与品返却、離職票などの受け取りに加え、退職後の生活費や次の職場選びも整理します。

「退職届を提出したが、気まずくて明日から職場に行きたくない」。顔を合わせるのがつらいという状態は珍しくありません。

期間の定めのない雇用では、原則として退職を申し入れた日から2週間が経過すると契約が終わります。この2週間を有給休暇で埋めるのか、会社と合意して別の扱いにするのかは、先に決めておきましょう。

この記事では、翌日から出社しないために確認すること、雇用形態ごとのルール、退職後に困らないための手続きを整理します。

目次

退職届を提出しても出社するかどうかを自己判断で決めない

期間の定めのない雇用なら、退職の申し出はいつでも可能です。解約の申し入れの日から2週間を経過することによって雇用が終了すると定めています(民法第627条第1項)。

会社が同意しなければ辞められない、というものではありません。厚生労働省の「確かめよう労働条件」でも、労働者が退職しようとする場合は原則として2週間前までに申し入れる必要があると説明されています。

ここで気をつけたいのは、契約が2週間で終わることと、翌日から出社してよいかどうかは、別の問題だという点です。退職届を出した翌日も、退職日までは労働契約が続いています。出社しない日の位置づけを決めないまま休むと、無断欠勤として処理されかねません。離職理由の記載や退職金の計算で不利になる場合もあるので注意しましょう。

退職届を提出した翌日から出社しないために確認する3つのポイント

出社しない期間の扱いは、大きく3つに分けて考えられます。

方法 確認すること 給与の扱い 注意点
有給休暇を申請する 残日数、取得期間、最終出勤日、退職日 原則として有給 申請せず自己判断で休まない。退職日を過ぎると残日数は消滅する
会社と合意する 即日退職、欠勤期間、貸与品、私物、引き継ぎ 合意内容によって異なる 口頭だけで終わらせず、決定事項をメールや書面に残す
体調不良を相談する 受診、診断書、休暇・欠勤・休職制度 制度や有給残日数によって異なる 病気休暇・休職は会社によって制度や条件が異なる

自分がどれに当てはまるかを決めてから、会社に連絡しましょう。

残っている有給休暇を退職日まで取得する

年次有給休暇は、労働者が請求した時季に与えなければならないと決まっています(労働基準法第39条第5項)。ただし同じ条文には、請求された時季に与えることが事業の正常な運営を妨げる場合は、他の時季に付与できるという例外も置かれています。

退職日より後に休暇を与えることはできないため、会社は時季変更権を行使できません。そのため、退職日までの残日数に有給を充てる請求は、時季を変更されにくいといえるでしょう。

まず給与明細や勤怠システムで残日数を確認し、最終出社日と有給休暇の開始日、退職日をメールで伝えてください。退職までに有給休暇を消化できない場合は、退職日を再検討するか、休暇を前倒しで取得する必要があります。

最終出勤日と退職日は同じとは限りません

例:8月15日を最後の出勤日とし、8月16日から8月31日まで有給休暇を取得する場合

  • 最終出勤日:8月15日
  • 有給休暇:8月16日~8月31日の所定労働日
  • 退職日:8月31日

※有給休暇は所定労働日に取得するため、暦日数と消化日数は一致しない場合があります。

退職日・欠勤の扱い・貸与品返却を会社と合意する

有給休暇が残っていない場合や、2週間を待たずに辞めたい場合は、会社との合意で退職日を決められます。会社が合意すれば、申し入れから2週間を待たずに契約を終わらせることも可能です。

確認しておきたいのは、以下の5点です。

  • 最終出社日
  • 退職日
  • 出社しない期間の取り扱い
  • 貸与品の返却方法
  • 私物の引き取り方法

口頭のやり取りだけでは、後から「聞いていない」と食い違うことがあるため、決まった内容はメールで送って残しておきましょう。

心身の不調がある場合は病気休暇を取得する

出社できない理由が体調不良やハラスメントにあるなら、無理に交渉を続ける必要はありません。先に医療機関を受診し、診断書が出れば、欠勤もしくは病気休暇を申請しましょう。

会社とのやり取りが進まないときは、都道府県労働局や労働基準監督署に置かれている総合労働相談コーナーに相談するのもおすすめです。

総合労働相談コーナーの相談は無料で、退職や嫌がらせを含む労働問題を幅広く扱っています。メンタル面の不調が続いている場合は、厚生労働省が運営する「こころの耳」でも、働く人向けの相談窓口を案内しています。ぜひ活用してください。

雇用形態ごとに退職のルールを確認する

ここまでは、期間の定めのない雇用(無期雇用)を前提に説明しました。契約社員やパートタイマーとして契約期間が決まっている場合、期間の途中で辞めるときのルールが変わります。

手元の労働条件通知書や雇用契約書を開き、契約期間の欄がどうなっているかを確かめてから読み進めてください。

契約 基本的なルール 翌日から出社しない場合 確認書類
無期雇用 原則として退職申入れから2週間で契約終了 有給、合意した欠勤・休暇など、退職日までの扱いを決める 雇用契約書、就業規則、有給残日数
有期雇用 契約途中の退職には、原則としてやむを得ない事由などの確認が必要 自己判断せず、契約期間と事情を会社・相談窓口へ伝える 労働条件通知書、雇用契約書、契約更新の記録
1年を超える有期契約 契約開始から1年経過後は、一定の場合を除き申し出により退職可能 適用対象かを確認して退職意思を記録に残す 契約開始日、契約期間、職種・年齢などの適用条件

※個別の契約内容や事情によって判断が異なる場合があります。判断に迷う場合は、総合労働相談コーナーや弁護士などへご相談ください。

【無期雇用】退職の意思を記録に残し、原則2週間の期間を確認する

無期雇用では、退職を申し入れた日から2週間で契約が終わります。申し入れた日が起点になるので、いつ申し入れたかを後から示せる形にしておきましょう。

退職届を手渡ししたなら、同じ内容をメールでも送ります。これは、送信日時が記録として残るためです。会社が受け取りを拒む場合は、内容証明郵便で送る方法もあります。

「受理していないから退職は認めない」と言われたとしても、申し入れが会社に届いていれば、2週間の経過によって契約は終了します。

【有期雇用】契約期間とやむを得ない事情を個別に確認する

契約期間が決まっている場合、期間の途中で辞められるのは、やむを得ない事由があるときです(民法第628条)。条文には、その事由が当事者の一方の過失によって生じたものであるときは、相手方に対して損害賠償の責任を負うとも書かれています。

何がやむを得ない事由に当たるかは、状況ごとの判断になります。自己判断で欠勤を始める前に、総合労働相談コーナーなどで事情を説明し、確認しておくとよいでしょう。

なお、契約期間が1年を超える有期契約であれば、契約の初日から1年を経過した後は、会社に申し出ることでいつでも退職できます(労働基準法附則第137条)。ただし、高度な専門知識を持つ労働者や満60歳以上の労働者など、対象から外れる場合もあるので押さえておきましょう。

退職届を提出後、出社しないために進めておくべき手続き

退職届を提出後に仕事に行かないために取っておくべき手続きは以下のとおりです。

  • 退職の意思と最終日をメールや書面で残す
  • 引き継ぎ資料と貸与品の返却方法を決める
  • 離職票など退職後に必要な書類の受け取り方を確認する

仕事に行かなくてよいことが決まったら、退職後に困らないための手続きを進めます。特に、書類のやり取りと返却物の扱いは、期限と実施方法をしっかり確認しておきましょう。

分類 主なもの 確認すること
会社へ返すもの 社員証、健康保険証・資格確認書、PC、スマートフォン、制服、鍵 返却期限、送付先、送料負担、配送方法
会社から受け取るもの 離職票、源泉徴収票、雇用保険被保険者証、退職証明書 発行時期、送付先住所、請求が必要か
自分で残す記録 退職届の写し、メール、発送伝票、返却品一覧 送付日、受取確認、やり取りの日時
引き継ぎ資料 担当業務、進行案件、保存場所、取引先情報 会社指定の保存場所と個人情報の取り扱い

退職の意思と最終日をメールや書面で残す

メールに書く内容は以下のとおりです。

  • 退職の意思
  • 退職日
  • 最終出社日
  • 有給休暇を取得する期間
  • 退職後に連絡が取れる電話番号とメールアドレス

退職届提出後の有給取得を相談するメール例

件名:退職日および有給休暇取得について

○○部長

お疲れ様です。○○です。

先日提出した退職届のとおり、○月○日付での退職を希望しております。
現在、年次有給休暇が○日残っているため、○月○日から退職日までの所定労働日について、有給休暇を申請いたします。

最終出勤日は○月○日を希望しております。引き継ぎ資料は共有フォルダ内の「○○」へ保存し、貸与品は○月○日までに追跡可能な方法で返送予定です。

退職後の書類は、下記住所への郵送をお願いいたします。
〒000-0000
○○県○○市○○

ご確認のほど、よろしくお願いいたします。

上司と人事担当者の両方を宛先に入れておくと、担当者が代わったときでも経緯を確認してもらえます。

また、送信メールは削除せず、退職後も残しておきましょう。離職理由や有給休暇の扱いで食い違いが出たとき、日付の入ったやり取りが判断の材料になります。

引き継ぎ資料と貸与品の返却方法を決める

出社しないまま退職する場合、パソコンや社員証、制服、鍵などの貸与品は、郵送で返却できるか会社に相談します。送るときは追跡できる方法を使い、発送した日付と品目を控えておきましょう。

引き継ぎ資料には、担当業務の一覧、進行中の案件の状況、取引先の連絡先、ファイルの保存場所をまとめます。共有フォルダに置いたうえで、保存先をメールで伝えましょう。

まとめる時間が足りないときでも、進行中の案件と保存場所の2点だけは残しておくと、退職後に連絡が来る回数を減らせます。

離職票など退職後に必要な書類の受け取り方を確認する

退職後に受け取る書類のうち、主なものは離職票、雇用保険被保険者証、源泉徴収票です。会社は、離職票のもとになる離職証明書をハローワークへ提出します。

離職証明書は、記載内容を本人が確認して署名することになっているため、離職理由の記載内容もあわせて確認しましょう。また、出社しない場合は、書類のやり取りを郵送できるかを押さえておいてください。

このほか、退職証明書は、労働者が請求すれば会社が遅滞なく交付しなければならないと決まっています(労働基準法第22条第1項)。

未払いの賃金や積立金についても、権利者の請求があった日から7日以内に支払う、または返還しなければならないと定められています(労働基準法第23条第1項)。すべてを会社任せにせず、進行状況を自分でも確認しておきましょう。

退職届を提出する際は、その後の生活をイメージしておく

翌日から出社しない形が整うと、気持ちはいったん落ち着きます。ただ、退職の手続きよりも、そのあとの生活と次の仕事のほうがずっと長く続きます。焦って次を決める前に、いつから働くのか、何を譲れないのかを整理しておきましょう。

今すぐ働く必要があるのか、休養や手続きの時間が必要かを整理する

まず、貯金と1か月の固定費から、何か月分の余裕があるかを計算します。家賃や通信費、保険料、奨学金の返済額を書き出し、貯金額と照らし合わせると、次の仕事を決めるまでに使える期間が把握できます。

自己都合で退職した場合、雇用保険の基本手当は、7日間の待期期間を過ぎたあとも一定期間は支給されません。2025年(令和7年)4月1日以降に離職した場合、正当な理由がない自己都合退職の給付制限は原則1か月です。

ただし、離職日からさかのぼって5年間に2回以上、自己都合退職で受給資格の決定を受けている場合は3か月です。退職してすぐに給付が始まるわけではないため、その間の生活費が確保できているか確認しておきましょう。

ツナグバの面談で退職理由と希望条件を言語化する

退職を決めた理由は、自分でもうまく言葉にできないものです。人間関係が理由だと思っていたのに、話してみると、評価の伝えられ方に納得できていなかったと気づく人もいます。

ツナグバでは、20代・未経験の転職支援で1人あたり平均10回の面談を行い、辞めたいと感じた場面を一つずつ掘り下げます。退職理由を自分の言葉にできると、面接で経緯を説明しやすくなるだけでなく、次の職場を選ぶときの基準もはっきりするでしょう。

求人票では見えにくい働き方や職場の雰囲気まで確認する

求人票に載るのは、給与や勤務時間、休日など、条件として書ける項目です。退職の理由になりやすい人間関係や指示の出され方は、求人票からは読み取れません。

そのため、応募する前に、配属先の人数構成や、入社した人がどのくらい続いているか、残業がどの時期に増えるかを確認しておきたいところです。

転職エージェントを利用する場合は、担当者が企業へ確認できる範囲を聞いてみてください。求人票に書かれていない部分こそ、同じ理由で辞めることを防ぐ判断材料になるはずです。

退職届を提出した翌日から行かないときは、手続きと次の準備を同時に進めよう

退職届を出した翌日から出社しない形は、有給休暇を充てるか、会社と合意するかのどちらかでつくれます。無期雇用なら申し入れから2週間で契約は終わりますが、その2週間を無断欠勤で埋めてしまうと、離職理由の記載や書類のやり取りで不利になりかねません。

契約期間が決まっている場合は、やむを得ない事由に当たるかどうかを含め、自分の契約内容から確認しましょう。

まず動くなら、退職の意思と退職日、有給休暇を取得する期間を書いたメールを送るところからです。記録さえ残れば、そのあとの手続きは会社と郵送でも進められます。

退職の手続きと、次の仕事探しを一人で抱え込まないために

退職の事情や体調、生活の見通しを整理しながら次の職場を探すのは、思っている以上に負担がかかります。ツナグバでは、今の状況を聞いたうえで、退職理由と次の職場で譲れない条件を一緒に整理します。

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この記事の監修

海老名 信行

海老名 信行

取締役/COO
株式会社ツナグバ

大学卒業後、株式会社ギャプライズにてWebマーケティング支援の営業として、大企業を中心とした新規顧客開拓とリレーション構築に従事。
次に、株式会社サイファーポイントに取締役/営業責任者として参画。新規顧客開拓、DXコンサルティング、WEBマーケティング支援を経験。
プロフィール紹介

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