退職するときは、伝え方や準備の進め方を間違えると、会社とのトラブルだけでなく、転職活動や退職後の生活にも影響することがあります。
特に20代では、「もう明日から会社へ行きたくない」「入社して間もないのに辞めてもよいのだろうか」「上司に切り出すのが怖い」と悩み、焦って行動してしまう人もいるでしょう。しかし、退職を考えること自体が悪いわけではありません。仕事や職場が合わないと分かったことも、自分に合う働き方を考え直すための大切な材料になります。
大切なのは、感情だけで動かず、必要な準備をしたうえで次の一歩を選ぶことです。この記事では、退職時にやってはいけない行動とその理由、後悔を減らすための準備、円満に意思を伝える方法を解説します。短期離職や退職代行など、20代が抱えやすい悩みについても一緒に考えていきましょう。
退職でやってはいけないこと|後悔につながるNG行動

退職は、今の職場を離れて新しい環境へ進むための大切な決断です。一方、つらさや焦りが強いときほど、「とにかく早く離れたい」という気持ちが先に立ち、その後の手続きや生活まで考えられなくなることがあります。
ここでは、退職時に避けたい代表的な行動を確認します。自分を責めるためではなく、これから起こり得る負担を減らすための確認として読んでみてください。
| やってはいけない行動 | 起こり得る問題 | 代わりに取る行動 |
|---|---|---|
| 無断で出社しなくなる | 安否確認や貸与品・退職書類のトラブルにつながる | 電話やメールで出社できない事情と退職意思を伝える |
| 感情的に不満をぶつける | 退職日や引き継ぎの話し合いがこじれやすい | 退職の意思と問題の申告を分けて伝える |
| 退職意思を曖昧にする | 引き止めや異動提案により話が進まない | 退職希望日と意思を結論から伝える |
| 引き継ぎを何も残さない | 退職後も会社から確認の連絡が来る可能性がある | 案件・手順・保存場所・連絡先を資料にまとめる |
| 生活費を確認せずに辞める | 無収入期間への焦りから転職先を妥協しやすい | 税金や保険料を含む支出と手元資金を確認する |
何も伝えずに辞める(無断退職・バックレ)
「もう会社に行けない」「上司と話すのが怖い」と感じても、何も連絡せずに突然出社しなくなるのは避けたい行動です。会社側が本人の状況を確認できず、家族や緊急連絡先へ連絡する場合があります。また、社員証やパソコンなどの貸与品の返却、退職日の確定、離職票などの書類の受け取りが進みにくくなる可能性もあります。
直接話すことが難しければ、まずメールや電話で「出社が難しいため、今後について相談したい」と伝える方法があります。直属の上司が怖い場合は、人事担当者や上位の管理職など、別の窓口へ連絡してもよいでしょう。自分だけで対応できないときは、家族、公的な労働相談窓口、必要に応じて専門家を頼る選択肢もあります。
ただし、眠れない、食事が取れない、会社を考えると強い動悸がするなど、心身の不調が深刻な場合は、円満な伝え方よりも安全と休養が優先です。無理に出社して説明しようとせず、医療機関や信頼できる人につながってください。
感情的に会社や上司の不満をぶつける
退職を考えるまでに、不満やつらさが積み重なっている人もいるでしょう。「最後だから全部言ってしまいたい」と感じるのは自然なことです。しかし、退職を伝える場で相手を強く批判すると、退職日や引き継ぎの相談が進みにくくなり、結果として自分の負担が増えることがあります。
退職の意思を伝えるときは、「今後は別の分野に挑戦したい」「働き方を見直したい」など、自分の将来を軸に簡潔に整理すると伝えやすくなります。会社への不満をすべて隠す必要はありませんが、退職の意思表示と、職場環境に関する相談は分けたほうが話を整理しやすいでしょう。
ハラスメントや法令違反などを相談・申告したい場合は、日時、場所、発言内容、関係者などの記録を残し、社内外の適切な窓口へ相談してください。感情を我慢するというより、必要な問題を必要な方法で伝えることが大切です。
退職理由を曖昧にしたまま先延ばしにする
「辞めるかどうか迷っているので相談したい」という段階と、「退職すると決めたので意思を伝えたい」という段階は異なります。気持ちが固まっていないまま退職の話をすると、引き止めや異動の提案を受け、かえって判断できなくなることがあります。
まず、辞めたい理由を紙やスマートフォンのメモに書き出してみましょう。「仕事内容が合わない」「人間関係がつらい」「労働時間が長い」などの理由に対して、部署異動や業務変更で改善できるのか、環境そのものを変える必要があるのかを考えます。
そのうえで、会社に改善を相談したいのか、退職の意思を伝えたいのかを決めます。退職すると決めた場合は、希望日とともに結論から伝えると、必要な手続きへ進みやすくなります。
引き継ぎをせずに退職する
退職する会社だからといって、担当業務を何も整理せずに離れると、同僚や取引先に負担がかかります。自分しか把握していない業務があると、退職後も会社から確認の連絡が来るかもしれません。
進行中の案件、定期的に行う業務、データの保存場所、取引先の連絡先、業務上の注意点などを資料にまとめましょう。後任者がまだ決まっていない場合でも、誰が読んでも最低限の流れが分かる状態にしておくと安心です。
ただし、引き継ぎが終わらないことを理由に、退職日を無期限に延ばす必要はありません。上司と優先順位を確認し、退職日までに対応できる範囲を明確にします。「すべてを完璧に終わらせる」のではなく、「残った人が続けられる情報を残す」と考えると進めやすいでしょう。
転職先を決めず勢いだけで辞める
次の仕事が決まる前に退職することが、すべて間違いというわけではありません。心身の状態によっては、転職活動より休養を優先したほうがよい場合もあります。また、仕事を続けながらでは時間を確保できず、退職後に集中して転職活動を進めたい人もいるでしょう。
一方で、収入が途切れる期間の生活費、住民税、健康保険、年金などを確認せずに辞めると、想定以上に出費が重なることがあります。経済的な焦りから、仕事内容や条件を十分に確認しないまま次の会社を決めてしまえば、再びミスマッチが起きるかもしれません。
退職前に、毎月必要な生活費と手元の資金を確認し、何か月程度なら無収入でも生活できるかを把握します。転職先を決めてから辞めるか、先に休むかは、自分の体調と家計の両方を見て判断しましょう。
退職前に確認しておきたい準備と手続き

退職を後悔しないためには、「会社を辞める日」だけでなく、その後の生活まで見通しておくことが大切です。特に初めて退職する20代は、給与が止まったあとにも税金や保険料の支払いがあることを見落としがちです。
| 確認すること | 主な内容 | 確認先 |
|---|---|---|
| 退職時期 | 雇用契約、就業規則、引き継ぎ期間、休養や転職活動の予定を確認する | 雇用契約書・就業規則・人事 |
| 有給休暇 | 残日数、取得希望日、最終出勤日と退職日の違いを確認する | 勤怠システム・人事 |
| 必要書類 | 離職票、源泉徴収票、雇用保険被保険者証などの受取方法を確認する | 人事・労務 |
| 健康保険 | 転職先の社会保険、任意継続、国民健康保険、家族の扶養を比較する | 健康保険組合・協会けんぽ・市区町村 |
| 年金 | 次の会社への入社まで期間が空く場合は、国民年金への切替え要否を確認する | 年金事務所・市区町村 |
| 生活費 | 無収入期間と、住民税・保険料を含む毎月の支出を計算する | 給与明細・家計簿・預金残高 |
退職を伝えるタイミングを考える
退職を伝える時期は、希望する退職日だけでなく、引き継ぎに必要な期間、有給休暇の取得予定、転職先への入社日などから逆算して考えます。繁忙期を避けられるなら配慮すると話は進めやすくなりますが、会社の都合だけで自分の予定を先延ばしにする必要はありません。
心身の不調が強い場合は、一般的な引き継ぎ期間よりも安全を優先すべきことがあります。自分の体調と生活状況を踏まえ、無理のない退職希望日を整理してから相談しましょう。
就業規則や退職までの流れを確認する
「2週間前に言えば必ず辞められる」といった情報だけを頼りに、会社との確認なしで最終出勤日を決めるのは避けましょう。法律上の扱いは、雇用期間の定めがあるかどうかや契約内容などによって異なります。また、会社の就業規則には、退職の申出時期や提出書類、手続きの流れが定められていることがあります。
まず雇用契約書と就業規則を確認し、希望する退職日から逆算して相談を始めましょう。厚生労働省は、期間の定めのない労働契約では原則として退職の申入れから2週間で契約が終了する一方、有期労働契約を期間途中で終了する場合は原則として「やむを得ない事由」が必要になると説明しています。判断に迷う場合は、会社の説明だけで決めず、都道府県労働局などの相談窓口で確認すると安心です。
有給休暇や退職後の手続きを確認する
年次有給休暇は、退職日を迎えると残っていても消滅します。取得を希望する場合は、残日数を確認し、引き継ぎの予定とあわせて早めに会社へ伝えましょう。
「最終出勤日」と「退職日」は同じとは限りません。たとえば、最後に出勤したあと有給休暇を取得し、その最終日を退職日とする形も考えられます。自分の希望だけで日程を決めず、業務の引き継ぎと必要な手続きを含めて会社と調整してください。
退職後すぐに次の会社の社会保険へ入らない場合は、健康保険と年金の手続きが必要になることがあります。健康保険には、退職前の健康保険の任意継続、国民健康保険への加入、条件を満たして家族の健康保険の被扶養者になるといった選択肢があります。
加入条件や保険料はそれぞれ異なります。任意継続は、資格喪失日の前日までに継続して2か月以上の被保険者期間があることなどが加入条件で、申請期限もあります。どれが一番安いかは収入や世帯状況によって変わるため、退職前から比較しておきましょう。
また、20歳以上60歳未満の人が会社を退職し、次の会社へ入るまで期間が空く場合などは、国民年金への切替えが必要になることがあります。自分がどの区分に当てはまるかを年金事務所や市区町村の窓口で確認してください。
必要書類や転職活動の準備を進める
退職時には、源泉徴収票、雇用保険被保険者証、年金や健康保険に関する書類など、転職や各種手続きで使う書類があります。何がいつ、どの住所へ送られるのかを人事担当者へ確認しておきましょう。退職後に引っ越す予定がある場合は、送付先の伝え忘れにも注意が必要です。
雇用保険の基本手当を申請する場合は、原則として離職票が必要です。受給の可否や給付開始までの流れは、雇用保険の加入期間、離職理由、求職の状況などによって異なります。「自己都合退職なら受け取れない」と決めつけず、住居地を管轄するハローワークで確認しましょう。
転職活動を始める場合は、退職理由だけでなく、次の仕事で実現したいことも整理します。仕事内容、働く時間、教育体制など、自分が譲れない条件に優先順位を付けておくと、焦って同じミスマッチを繰り返すのを防ぎやすくなります。
参考:厚生労働省「Q&A~労働者の皆様へ(基本手当、再就職手当)~」
円満退職するための伝え方と退職理由の考え方

円満退職とは、不満をすべて隠し、会社の希望を何でも受け入れることではありません。自分の意思を明確に伝えたうえで、必要な手続きを落ち着いて進めることです。ここでは、実際に退職を切り出す場面をイメージしながら、伝え方を確認します。
退職の意思はまず直属の上司に伝える
一般的には、まず直属の上司に面談の時間をもらい、退職の意思と希望時期を伝えます。最初のメールやチャットに退職理由をすべて書くのではなく、「今後についてご相談したいことがあります。お時間をいただけますか」と面談を依頼するとよいでしょう。
面談では、「○月末で退職したいと考えています」と結論から伝えます。「辞めようか迷っていて……」と曖昧に始めると、キャリア相談なのか意思表示なのかが伝わりません。退職の意思が固まっている場合は、その点が分かる言葉を選びましょう。
退職を切り出すときの例文
お時間をいただきありがとうございます。今後のキャリアについて検討した結果、○月末をもって退職したいと考えております。
退職日や引き継ぎについては、ご相談しながら進めさせていただければと思います。
会社への不満ではなく前向きな理由に変換する
本当の理由が給与や人間関係への不満であっても、相手を責める言い方をする必要はありません。「新しい分野に挑戦したい」「今後のキャリアを見直したい」など、自分を主語にして伝えると対立を避けやすくなります。
事実と異なる理由を細かく作り込む必要もありません。「一身上の都合」と簡潔に伝え、詳しく聞かれても答えられる範囲にとどめる方法があります。転職先が決まっている場合も、会社名や給与などを必ず伝えなければならないわけではありません。
引き止められても自分の意思を整理して対応する
退職を伝えると、異動、昇給、業務内容の変更などを提案されることがあります。評価されているように感じ、心が揺れる人もいるでしょう。そのときは、「なぜ退職を考えたのか」「その原因は今回の提案によって継続的に解消されるのか」を振り返ります。
退職の意思が固まっている場合は、提案への感謝を伝えたうえで、「検討しましたが、退職の意思は変わりません」と落ち着いて伝えます。その場で答えにくければ、返答する日を決めて一度持ち帰ってもかまいません。相手の勢いに押されて即答せず、自分が納得できる選択をすることが大切です。
引き止めを断るときの例文
ご提案いただき、ありがとうございます。改めて検討しましたが、今後のキャリアを考えたうえで決めたことですので、退職の意思に変わりはありません。退職日まで責任を持って引き継ぎを進めます。
20代が言いにくい退職事情への対処法|会社に行きづらい・短期離職でも焦らない

20代の退職では、働いた期間の短さや経験の少なさから、「自分の我慢が足りないのではないか」と考えてしまうことがあります。しかし、長く働くことだけが正解ではありません。今の経験から何を学び、次の選択へどうつなげるかが重要です。
入社してすぐ辞めたい場合は理由を整理する
入社後に「聞いていた仕事内容と違った」「職場の雰囲気が合わない」と感じることはあります。短期離職を避けることだけを目的に無理を続けるのではなく、つらさの原因を具体的に整理しましょう。
仕事内容を覚える途中の不安なのか、採用時の説明と実態が違うのか、長時間労働やハラスメントなど安全に関わる問題なのかによって、取るべき対応は変わります。配置や教育担当者の変更で改善できそうなら、まず相談する方法もあります。一方、心身を崩している場合や、改善が見込めない環境であれば、早めに離れることも選択肢です。
退職を選ぶ場合は、次の転職活動で「合わなかった」だけで終わらせず、入社前に確認できなかった点と、次の会社選びで重視する点を言葉にしておきましょう。短期離職の経験も、自分に合う仕事を理解する材料に変えられます。
上司に退職を言えないときの進め方
直属の上司から強い叱責を受けているなど、直接話すことが大きな負担になる場合は、人事や上位の管理職、社内相談窓口へ連絡する方法があります。話す前に、退職希望日、伝える内容、返却物、確認したい書類をメモしておくと、緊張しても要点を確認できます。
社内で相談できない場合は、都道府県労働局などの総合労働相談コーナーを利用できます。解雇、配置転換、賃金、いじめ・嫌がらせなど、幅広い労働問題を対象とする公的な窓口です。重要な連絡は、あとで内容を確認できるようメールなど記録が残る方法も併用しましょう。
眠れない、食事が取れない、出勤しようとすると吐き気や強い動悸が出るなど、日常生活に影響がある場合は、無理に出勤を続けることが最善とは限りません。家族や信頼できる人、医療機関、公的な相談窓口などにつながり、まず心身を守ることを優先してください。
つらい状態では、退職日、転職先、会社への説明を一度に決めるのは難しいものです。まず休む、医療機関へ相談する、利用できる休職制度を確認するなど、問題を分けて考えましょう。退職や転職は、少し落ち着いてから検討しても遅くありません。
短期離職でも次のキャリアにつなげる考え方
短期離職では、選考で退職理由を確認される可能性があります。ただし、働いた期間の短さだけで転職の結果が決まるわけではありません。前職で感じたミスマッチを振り返り、「次は何を確認するか」「どのような環境なら力を発揮できるか」を説明できるようにすることが重要です。
未経験の仕事へ挑戦するときは、「早く内定を取らなければ」という焦りから、求人票の条件だけで応募先を決めないようにしましょう。「未経験歓迎」という言葉だけでは、研修内容や入社後に任される仕事までは分かりません。具体的な仕事内容、研修期間、独り立ちまでの流れ、評価方法、残業の状況などを確認すると、次のミスマッチを防ぎやすくなります。
退職代行を利用する前に考えたいこと
自分で退職を伝えることが難しく、退職代行サービスを検討する人もいます。退職代行を使うこと自体を一律に良い・悪いと判断することはできません。直接連絡することで心身の状態が悪化する人にとっては、外部の力を借りることが必要な場合もあります。
利用する場合は、運営主体、料金、追加費用、連絡方法、対応できる範囲を確認しましょう。単に退職の意思を伝えることと、未払い賃金や退職条件について法的な交渉を行うことは異なります。交渉や法的な判断が必要な場合は、弁護士など適切な専門家への相談を検討してください。
| 運営主体 | 主な対応範囲 | 確認したい点 |
|---|---|---|
| 民間企業 | 退職意思の伝達など | 会社との法的な交渉はできない |
| 労働組合 | 退職意思の伝達や、労働組合としての交渉 | 組合の実態、加入方法、追加料金を確認する |
| 弁護士 | 退職条件、未払い賃金、損害賠償などの法的対応 | 相談料・着手金・追加費用を確認する |
退職に関するよくある質問
退職理由として言ってはいけないことはありますか?
会社や上司への批判を感情的にぶつけると、退職日や引き継ぎの話し合いがこじれることがあります。嘘の理由を作る必要はありませんが、「今後のキャリアを見直したい」など、自分の方向性を軸に簡潔に伝えるとよいでしょう。ハラスメントなどの問題を申告する場合は、退職理由の説明と分け、記録を残して適切な窓口へ相談します。
仕事を辞める時に一番やってはいけないことは何ですか?
何も連絡せず、突然出社しなくなることです。安否確認が必要になったり、貸与品の返却や必要書類の受け取りが進みにくくなったりする可能性があります。自分で伝えられない事情がある場合は、人事など別の社内窓口、公的相談窓口、家族や専門家を頼りましょう。
退職を伝えるベストなタイミングはいつですか?
すべての人に共通する一律の正解はありません。雇用契約と就業規則を確認し、希望する退職日、引き継ぎ、有給休暇の予定から逆算して、できるだけ余裕を持って伝えます。有期労働契約など判断に迷う場合は、公的な労働相談窓口へ確認してください。
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