「退職したい気持ちは固まったけれど、直属上司にどう伝え方をすればいいんだろう……」
新たなスタートを切るための決意は素晴らしいものです。しかし、会社を離れるという行為は、直属上司や人事、そして同僚や取引先といった多くの人に影響を与えます。だからこそ、「伝え方を間違えたらどうしよう」と不安になるのは当然のことです。
ご安心ください。
円満退職は、あなたの誠意ある準備と、関係者への配慮さえあれば必ず実現できます。
この記事では、あなたが直属上司から人事、同僚、同期、取引先に至るまで、誰に、いつ、何を伝えるべきかという具体的なマナーと手順を徹底解説します。あなたの次のキャリアへの一歩を、気持ちよく踏み出せるよう、一緒に確認していきましょう。
1. 退職を伝えるベストなタイミングとマナー

気持ちよく会社を卒業するための最初のステップは、直属上司への最初の伝え方です。
1-1. 退職意思は「遅くとも1ヶ月前」には伝えよう
法律上は退職日の2週間前までに意思表示をすれば退職は可能ですが(民法第627条)、円満退職を目指すなら、引継ぎや後任者の選定期間を考慮して、遅くとも1ヶ月前までに伝えるのが理想です。
- 会社の就業規則を確認する: まずは会社の規定がどうなっているかを確認しましょう。
- 繁忙期を避ける配慮: 会社の業務が立て込んでいる時期は避け、上司の負担を減らすよう配慮することが、誠意として伝わります。
1-2. 伝える相手は「直属上司」が最優先
退職の意思は、必ず直属上司に、あなたから直接、口頭で伝えましょう。
- 直属上司への義務と配慮: 上司を飛び越えて人事や同僚に先に話すのは、上司の立場を軽んじる行為と見なされ、不信感につながります。必ず直属上司が最初です。
- 2人きりで話せる場所と時間を選ぶ: 伝える際は、周囲に人がいない静かな場所(会議室など)を選びましょう。上司のスケジュールを確認し、終業間際など忙しい時間帯は避けて、事前にアポイントを取るのがマナーです。
2. 上司に納得してもらう「ポジティブな退職理由」の伝え方

上司が最も知りたいのは、「あなたがなぜ辞めるのか」という理由です。会社への不満やネガティブな理由は、引き止めやトラブルの原因になります。前向きでポジティブな理由に変換して伝えるのが鉄則です。
2-1. ポジティブな理由を心がけるのが鉄則
ネガティブな理由(給与、不満、人間関係など)は、退職理由としてストレートに伝えるのは避けましょう。
- 会社への言及は避ける: 「御社には〇〇がないから」ではなく、「私の将来の目標を実現するために、〇〇という新しい環境で挑戦したい」と、自分自身の未来の話に終始することが大切です。
- 感謝の気持ちを伝える: 「〇〇のプロジェクトで貴重な経験をさせていただき、感謝しています」など、具体的なエピソードを交えながら、会社への感謝を必ず伝えましょう。
2-2. 具体的な「将来の目標」を語る
退職後のビジョンを具体的に伝えることで、あなたの退職への強い意志と真剣さが伝わり、上司も「仕方ない」と納得しやすくなります。
- 目標を明確に: 「〇〇の専門スキルを磨き、市場価値の高い人材になりたい」「〇〇の分野で起業したい」など、具体的な目標を伝えます。
- やむを得ない決断であったと説明: 「現職で最大限努力しましたが、私の目標達成に必要な経験を積むことが難しいと判断いたしました」のように、やむを得ない決断であったことを説明します。
3. 【連絡先別】円満退職のための「誰に」「いつ」伝えるか

退職の意思を伝えた後の情報解禁は、会社への誠意と配慮が試されます。伝える相手の立場を理解し、順番を間違えないようにしましょう。
3-1. 直属上司:最優先の義務と相談
| 伝える順番 | タイミング | 伝える内容 |
| 最優先(一番最初) | 退職希望日の1ヶ月以上前 | 退職したいという「意思」と「前向きな理由」 |
| マナー | 退職の決定ではなく、まずは相談という形で話すのが理想的です。退職日や引継ぎの期間は、上司と相談して決めましょう。 |
3-2. 人事・総務:手続きの相談(上司の許可後)
| 伝える順番 | タイミング | 伝える内容 |
| 二番目 | 直属上司に承認された直後 | 最終退職日と、退職手続きに必要な書類(離職票など)の確認 |
| マナー | 直属上司に報告する前に人事に相談するのは厳禁です。必ず上司から「承認を得た」ことを伝えてから連絡しましょう。 |
3-3. 同僚・同期:伝える順番と配慮
| 伝える順番 | タイミング | 伝える内容 |
| 上司・人事の決定後 | 退職が正式決定し、引継ぎの準備が始まる頃 | 退職日と、感謝の気持ち。退職理由は簡潔に(「キャリアアップのため」など)。 |
| マナー | 直属上司より先に同僚や同期に話すと、情報漏洩や職場の士気低下につながります。必ず上司の指示に従いましょう。引継ぎをお願いする同僚には、特に丁寧に依頼します。 |
3-4. 取引先:伝えるべき情報と誠意のマナー
| 伝える順番 | タイミング | 伝える内容 |
| 引継ぎ期間中 | 最終出社日の2週間~1ヶ月前 | 退職日、感謝の言葉、後任者の紹介と引継ぎの段取り |
| マナー | 退職理由は詳しく話す必要はありません。あなたの退職で迷惑をかけないよう、引継ぎの段取りと誠意を伝えることに集中しましょう。 |
4. 状況別:トラブルになりにくい退職理由の例文集

上司に納得してもらいやすい、具体的な退職理由の例文をご紹介します。
4-1. キャリアアップ・自己成長のための転職
例文:
「入社以来、〇〇の業務を通じて貴重な経験をさせていただき、心より感謝申し上げます。これまで培ってきた〇〇のスキルを活かし、今後はより専門性の高い〇〇の分野に挑戦したいという思いが強くなりました。この目標を実現するため、別の環境でキャリアを積む決意をいたしました。大変心苦しいのですが、退職させていただきたく、ご理解いただけますと幸いです。」
4-2. 家庭の事情・ライフイベント
例文:
「大変急なご相談となり申し訳ございません。この度、家族の介護(または配偶者の転勤)が必要となり、〇〇に拠点を移すことになりました。現在の職務を継続することが困難になったため、誠に勝手ながら退職させていただきたく、ご理解いただけますと幸いです。これまでお世話になり、本当にありがとうございました。」
4-3. スキルアップのための留学・資格取得
例文:
「以前から目標にしておりました、〇〇の分野を専門的に学ぶため、〇〇大学への留学を決意いたしました。これまで貴社で培った〇〇の知識をさらに深め、将来は〇〇の分野で活躍したいと考えています。大変ご迷惑をおかけいたしますが、退職させていただけないでしょうか。」
5. 円満退職のための「プロフェッショナルな準備」

退職の意思を伝えた後も、あなたのプロフェッショナルとしての評価は続きます。最後まで誠意をもって行動しましょう。
5-1. 退職願・退職届の準備
退職の意思を口頭で伝えた後、上司の指示に従い、退職願または退職届を提出します。
- 記載内容の注意: 退職理由は「一身上の都合により」と記載するのが一般的です。
- 退職日の確認: 退職日は、上司と引継ぎ期間を相談して決定した日付を記載しましょう。
5-2. スムーズな引継ぎは「最後の貢献」
後任者へのスムーズな引継ぎは、円満退職のための最も重要なプロセスであり、会社への最後の貢献です。
- 引継ぎマニュアルの作成: 業務内容、手順、注意点、関連資料などをまとめた、後任者がすぐに業務を始められるような、分かりやすいマニュアルを作成しましょう。
- 十分な引継ぎ期間の確保: 後任者が業務を完全に理解するまで、しっかりとサポートし、取引先への紹介も丁寧に行いましょう。
5-3. 最終出社日の挨拶:感謝で締めくくる
最終出社日には、お世話になった方々へ感謝の気持ちを伝えましょう。
- 対面とメールの使い分け: 直属上司やチームメンバーには直接感謝を伝え、取引先や他部署にはメールで挨拶をしましょう。
- 菓子折りの準備: 部署全体やチームなど、大人数に挨拶する場合は、個包装の菓子折りを用意するのも良いでしょう。
笑顔で感謝の気持ちを伝え、気持ちよく締めくくることが、あなたの輝かしい未来へとつながります。
この記事を書いた人
寺井健剛(てらいけんご)
株式会社ツナグバ 公式サイト
Work Experience: 金融業界
Hobby: たくさん食べること(特にしゃぶしゃぶと赤身)
MBTI: 提唱者-INFJ-
Favorite: アニメを一気見すること
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この記事の監修
海老名 信行
取締役/COO
株式会社ツナグバ
大学卒業後、株式会社ギャプライズにてWebマーケティング支援の営業として、大企業を中心とした新規顧客開拓とリレーション構築に従事。
次に、株式会社サイファーポイントに取締役/営業責任者として参画。新規顧客開拓、DXコンサルティング、WEBマーケティング支援を経験。
プロフィール紹介
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