「子供が部屋から出てこない」「働いてほしいと伝えると怒ってしまう」「親の育て方が悪かったのではないか」と、一人で悩んでいないでしょうか。
引きこもりやニート状態は、親の接し方だけで起こるものではありません。学校や職場での挫折、人間関係、心身の不調、本人の特性、家庭環境など、複数の要因が重なっていることがあります。
そのため、親が自分を責め続けても、子供を強く叱っても、状況がすぐに改善するとは限りません。
一方で、親が言葉や関わり方を見直すことによって、家庭内の緊張が和らぎ、本人が相談や社会参加に向かいやすくなる可能性はあります。
この記事では、次の内容を解説します。
- 引きこもりとニートの違い
- ニートの親に見られやすい対応
- 親が変えられる具体的な行動
- 働かない息子・娘への声のかけ方
- 相談機関と就職支援の使い分け
- 社会復帰を急がない段階的な進め方
結論からいえば、最初の目標は「すぐに正社員として働かせること」ではありません。本人が安心して話せる状態を整え、必要に応じて家族だけでも外部へ相談することが第一歩です。
ニートと引きこもりの違い
| 項目 | ニート | 引きこもり |
|---|---|---|
| 主な意味 | 就労・通学・職業訓練をしていない状態 | 社会参加や家庭外の交流を避けている状態 |
| 外出 | 外出や交流をしている人もいる | 外出できる場合もあるが、社会との接点が限定されやすい |
| 必要な支援 | 就職準備、職業訓練、求人紹介など | 生活・医療・福祉・家族支援などを含む段階的な支援 |
両方に当てはまる人もいますが、必要な支援は本人の状態によって変わります。「働いていないから就職させる」と一律に考えず、まず何に困っているのかを確認することが大切です。
引きこもりやニートになった原因は親だけではない
子供が引きこもったとき、「育て方を間違えた」と自分を責める親は少なくありません。しかし、原因を一つに決めつけるのは適切ではありません。本人にも原因をうまく言葉にできない場合があります。
考えられる背景には、次のようなものがあります。
- 学校での不登校やいじめ
- 受験や就職活動の失敗
- 職場の人間関係やハラスメント
- 退職後の自信喪失
- 病気や睡眠リズムの乱れ
- 失敗に対する強い不安
- 発達特性と環境のミスマッチ
- 家族との関係
- 経済的な不安
- 将来像を描けない状態
「怠けている」「甘えている」と見える状態でも、本人は強い不安や自己否定を抱えている可能性があります。
原因探しで本人や親を責めるよりも、「現在、何が一番つらいのか」「どの程度なら行動できるのか」を確認する方が、次の支援につながりやすくなります。
ニートの親に見られやすい共通点とは
ニートの親に必ず共通する性格や育て方があるわけではありません。ただし、心配するあまり、結果として本人の自立を妨げやすい対応を続けてしまうことはあります。
ここでは親を責めるためではなく、現在の関わり方を振り返るための例を紹介します。
本人の代わりにすべて決めてしまう
親が求人を探し、応募先を決め、面接の日程まで組んでしまうと、本人が自分で選ぶ機会を失います。
一時的に話が進んでも、本人の納得感がなければ、応募を取りやめたり、入社後すぐに辞めたりする可能性があります。
親は選択肢を提示しても、最終的な判断は本人に任せることが大切です。
兄弟や同年代と比較する
「同級生はもう働いている」「弟は自立している」といった比較は、本人の焦りや自己否定を強めることがあります。
比較するなら他人ではなく、本人の以前の状態と比べましょう。「朝起きられる日が増えた」「家族と話せた」など、小さな変化も前進です。
働くことだけを会話の中心にする
顔を合わせるたびに仕事や将来の話をすると、本人は親との接触自体を避けるようになる可能性があります。
食事や趣味、日常の出来事など、就職と関係のない会話を保つことが、相談できる関係の土台になります。
生活費を無条件で与え続ける
生活を守ることは必要ですが、家庭内のルールが何もないまま金銭的な援助を続けると、将来の課題が見えにくくなることがあります。
ただし、突然お金を止めたり家から追い出したりする対応は避けましょう。支援機関に相談し、本人の状態を見ながら生活費や家事分担などのルールを話し合います。
世間体を優先する
「親戚に知られたくない」「近所に恥ずかしい」と考えて問題を家庭内だけで抱えると、親子ともに孤立しやすくなります。
本人が相談を拒んでいても、親だけで支援機関や家族会に相談できます。秘密を守りながら利用できる窓口もあるため、早めに外部とつながることが重要です。
親が変わるとは「性格」ではなく「関わり方」を変えること
「親が変われば子供も変わる」という言葉は、親に責任を押しつける意味ではありません。
子供を直接コントロールすることはできませんが、親自身の言葉や行動、家庭内の環境は見直せます。
親が見直したい5つの対応
| 避けたい対応 | 見直した後の対応 | 目的 |
|---|---|---|
| 「いつ働くの」と毎日聞く | 仕事の話をするタイミングを本人に確認する | 会話への恐怖を減らす |
| 本人に無断で求人へ応募する | 情報を渡し、見るかどうかを本人に任せる | 自己決定を守る |
| 昼夜逆転を強く叱る | 食事や起床など一つの習慣から整える | 無理のない生活改善を図る |
| 他人や兄弟と比較する | 本人の小さな変化を具体的に伝える | 自己否定を強めない |
| 家族だけで解決しようとする | まず親だけでも専門窓口へ相談する | 家庭の孤立を防ぐ |
子供がニートになったら親ができる7つのこと
1.本人の話を否定せずに聞く
本人が「働くのが怖い」「何をしても無理」と話したとき、すぐに正論で説得するのではなく、まず気持ちを受け止めます。
「そんなことを言っていたら何もできない」ではなく、「そこまで不安になった出来事があったの?」と尋ねると、本人が経験を話しやすくなります。
話を聞くことは、本人の考えにすべて同意することではありません。話せる関係を保つための行動です。
2.就職を最初の目標にしない
長く引きこもっている人にとって、いきなり週5日勤務の正社員を目指すことは大きな負担です。
最初は次のような行動でも構いません。
- 家族と同じ時間に食事をする
- 日中に起きる日を増やす
- 近所へ買い物に行く
- オンラインで相談する
- 家事を一つ担当する
- 支援機関の情報を見る
本人の状態に合わない目標を設定すると、失敗体験が増えてしまいます。現在地から実行できる一歩を選びましょう。
3.本人が決める余地を残す
「相談に行きなさい」ではなく、「電話とオンラインならどちらが話しやすい?」と選択肢を提示します。
何もしない選択を無期限に認めるという意味ではありません。親の希望を伝えながらも、方法やタイミングについて本人の意見を聞くことが重要です。
4.家庭内のルールを冷静に話し合う
家事、生活費、食事、インターネット、家族への暴言など、家庭内で困っていることがある場合はルールを決めます。
ただし、感情的になっている場面で一方的に通告すると対立が深まりやすくなります。
「家から出ていきなさい」ではなく、「この生活を家族で続けるために、食器洗いを担当してもらえると助かる」と、目的と具体的な行動を伝えましょう。
5.親自身の生活を守る
子供の状態を心配するあまり、親が仕事や睡眠、交友関係を犠牲にすると、家庭全体が不安定になります。
親が休むことや趣味を持つことは、子供を見放すことではありません。親自身が落ち着いて生活できる状態を保つことも支援の一部です。
6.本人が拒否しても親だけで相談する
「本人が行かないから相談できない」と考える必要はありません。
ひきこもり地域支援センターなどでは、家族からの相談にも対応しています。親が本人への接し方や利用できる制度を知るだけでも、家庭内の対応を整理できます。
7.緊急性がある場合は就職より安全を優先する
極端に食事が取れない、眠れない、自傷をほのめかす、家族への暴力があるなどの場合は、就職活動を急ぐ段階ではありません。
医療機関や自治体の相談窓口などにつなぎ、安全の確保を優先してください。差し迫った危険がある場合は、ためらわず緊急機関へ連絡します。
働かない息子・娘への声のかけ方
伝える内容だけでなく、タイミングや言葉の選び方も重要です。
そのまま使える声かけ例
本人を追い詰めにくい声のかけ方
- 「今すぐ働けという話ではないよ。困っていることがあれば聞きたいと思っている」
- 「話したくないときは無理に話さなくて大丈夫」
- 「あなたの代わりに決めるつもりはないけれど、必要な情報は一緒に探せるよ」
- 「相談先を見つけたけれど、電話とオンラインならどちらがよさそう?」
- 「正社員だけでなく、できそうな働き方から考えてもいいと思う」
反対に、次のような言葉は避けた方がよいでしょう。
- いつまで親に迷惑をかけるの
- 普通の人は働いている
- 甘えているだけ
- このままでは人生が終わる
- 親が死んだらどうするの
- 明日から働きなさい
将来の問題を伝える必要はありますが、恐怖や罪悪感だけで動かそうとすると、本人がさらに会話を避ける可能性があります。
社会復帰は段階を分けて考える
社会復帰は「引きこもりから正社員へ」と一度に進むものではありません。
社会との接点を取り戻す5段階
食事・睡眠・家族との会話など、家庭内での安定を優先します。
オンライン相談、支援員との面談、居場所への参加などから始めます。
散歩、買い物、家事、短時間の活動など、継続できる行動を探します。
職業訓練、応募書類の準備、面接練習、アルバイトなどを検討します。
勤務時間、仕事内容、人間関係への不安を整理し、無理なく続けられる求人を選びます。
本人によっては順番が前後したり、同じ段階を行き来したりします。後戻りに見える時期があっても、それだけで失敗と判断する必要はありません。
引きこもりやニートについて相談できる場所
本人の状態によって、適した相談先は異なります。
相談先の使い分け
| 相談先 | 向いている状況 | 主な支援 |
|---|---|---|
| ひきこもり地域支援センター | 外出や家族以外との交流が難しい | 本人・家族への相談、居場所や関係機関の案内 |
| 自治体の自立相談支援機関 | 生活費、住居、家計などにも不安がある | 生活と就労を含めた支援計画の作成 |
| 地域若者サポートステーション | 働くことに不安があり、準備から始めたい | 相談、コミュニケーション訓練、就労準備 |
| 医療機関・保健所など | 心身の不調や生活への大きな支障がある | 状態の確認や治療、地域支援への接続 |
| 転職エージェント | 本人に働く意思があり、求人を検討できる | 仕事選び、書類作成、面接対策、求人紹介 |
厚生労働省の「ひきこもり地域支援センター」は、都道府県・指定都市などに設置され、本人だけでなく家族からの相談にも対応しています。相談先が分からない場合は、まず居住地域の窓口を確認しましょう。
本人が「少し働いてみたい」と話したら親ができること
本人から仕事の話が出たときも、すぐに応募を迫らないことが大切です。
まず、次の内容を一緒に整理します。
- 週に何日なら働けそうか
- 朝からの勤務が可能か
- 人と接する仕事への不安はあるか
- 過去に辞めた仕事で何がつらかったか
- アルバイトと正社員のどちらを考えているか
- 通勤と在宅のどちらが合いそうか
- 相談相手がいた方が進めやすいか
「どの会社に入るか」より先に、「どのような環境なら続けられそうか」を考えましょう。
「働きたいけれど、何から始めればいいか分からない」方へ
ツナグバでは、20代の就職・転職相談を無料で受け付けています。
経歴に自信がない場合も、今の不安や希望を整理するところから相談できます。
※ご家族が代理で申し込むのではなく、ご本人の意思を確認したうえでご利用ください。
ツナグバの強みは、求人を急いで紹介するだけでなく、本人の希望や不安を整理し、未経験から目指しやすい仕事を一緒に考えられることです。
一方、本人がまだ会話や外出に強い困難を感じている場合は、転職相談よりも、ひきこもり地域支援センターなどへの相談を優先してください。
親だけで無料相談へ申し込んでもよい?
ツナグバの無料相談は、基本的に仕事を探す本人を対象としています。
親が本人に代わって応募先を決めたり、無断で面談を予約したりすると、本人の負担になる可能性があります。まずは記事や無料相談のページを本人に共有し、「話してみたいと思ったら使えるよ」と伝える程度に留めましょう。
本人がまだ働く段階にない場合は、公的な家族相談の利用が適しています。
引きこもり・ニートの親に関するよくある質問
Q. 引きこもりは親が変わると改善しますか?
親が変われば必ず改善するとは限りません。ただし、責める、急かす、本人の代わりに決めるといった対応を見直すことで、家庭内の緊張が和らぎ、本人が相談や社会参加に向かいやすくなる可能性があります。
Q. ニートになるのは親の育て方が原因ですか?
親の育て方だけが原因とはいえません。学校や職場での経験、人間関係、心身の不調、本人の特性、家庭環境など、複数の要因が重なっている場合があります。親や本人のどちらか一方を責めないことが大切です。
Q. 働かない息子を家から追い出してもよいですか?
突然家から追い出したり、生活費をすべて止めたりする対応は、本人をさらに孤立させる可能性があります。家庭内の負担が大きい場合は、家族だけで決断せず、自治体の相談窓口や支援機関へ相談してください。
Q. 本人が相談を拒否する場合はどうすればよいですか?
無理に連れて行くのではなく、まず親だけで相談しましょう。ひきこもり地域支援センターなどでは、家族からの相談も受け付けています。親が接し方を整理することも、状況を変える一歩になります。
Q. 何歳までならニートから就職できますか?
年齢だけで就職できないと決まるわけではありません。ただし、年齢や空白期間によって応募できる求人や必要な準備は変わります。本人に働く意思がある場合は、早めに就職支援機関へ相談すると選択肢を整理しやすくなります。
Q. アルバイトから始めてもよいですか?
問題ありません。短時間勤務やアルバイトから生活リズムと就労経験を整え、段階的に勤務時間を増やす方法もあります。正社員だけを唯一の成功と考えず、本人が継続できる働き方を選びましょう。
Q. 親が求人を探して本人に見せてもよいですか?
情報を共有すること自体はできますが、毎日のように求人を送り続けたり、本人に無断で応募したりするのは避けましょう。「必要なら一緒に探せる」と伝え、見るかどうかは本人に任せることが大切です。
親だけで抱え込まず、本人が動ける環境を整えよう
引きこもりやニート状態は、親だけが原因で起こるものではありません。また、親が接し方を変えれば、子供がすぐに働き始めるわけでもありません。
親ができることは、本人を無理に動かすことではなく、次のような環境を整えることです。
- 本人の話を否定せずに聞く
- 他人や兄弟と比較しない
- 就職だけを会話の中心にしない
- 小さな行動を前進として認める
- 本人の自己決定を尊重する
- 親だけでも支援機関に相談する
- 働く意思が出たら就職支援につなぐ
社会復帰までに時間がかかることはあります。親子だけで解決しようとせず、本人の状態に合った支援を利用しましょう。
本人が「少し働いてみたい」「自分にできる仕事を知りたい」と考え始めている場合は、就職・転職の専門家に相談することも選択肢の一つです。
社会復帰の次にある「仕事探し」を一人で抱えない
ツナグバでは、20代の未経験転職を中心に、仕事選びや応募準備をサポートしています。
空白期間や職歴に不安がある方も、現在の状況を整理するところから無料で相談できます。
※就職を希望するご本人向けのサービスです。無理な応募や転職を勧めるものではありません。
この記事を書いた人
寺井健剛(てらいけんご)
株式会社ツナグバ 公式サイト
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この記事の監修
海老名 信行
取締役/COO
株式会社ツナグバ
大学卒業後、株式会社ギャプライズにてWebマーケティング支援の営業として、大企業を中心とした新規顧客開拓とリレーション構築に従事。
次に、株式会社サイファーポイントに取締役/営業責任者として参画。新規顧客開拓、DXコンサルティング、WEBマーケティング支援を経験。
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