モラハラを理由に退職するには?伝え方・証拠・相談先を解説

この記事に書かれていること

職場のモラハラに法律上の定義はありませんが、言動の内容によってはパワーハラスメントとして扱われるため、日時・内容・同席者・業務や体調への影響を記録します。

退職希望日を添えて意思を伝え、面談後のメールや退職届、必要に応じた内容証明郵便で記録を残す方法を解説します。

有給休暇と最終出勤日、離職票・雇用保険の扱い、総合労働相談コーナーなどの相談先、次の職場で確認したい条件も紹介します。

「上司の言動に耐えられない。でも、これがモラハラに当たるのかは自分では判断がつかない」。そう感じたまま出社を続けている方もいるでしょう。

モラハラを理由に退職するときに大切なのは、勢いで退職届を出さず、記録・相談・伝え方・退職後の手続きを順に押さえることです。

この記事では、今日から始められる記録の取り方、公的な相談窓口、退職の意思の伝え方、有給と離職票の扱いまでを解説します。つらさを抱えたまま判断を先延ばしにしている人は、ぜひ参考にしてください。

目次

モラハラで退職を考えたときに取るべき行動

モラルハラスメント(モラハラ)という言葉に法律上の定義はありませんが、職場での言動は、内容によってパワーハラスメントとして扱われます。

つまり、我慢するしかない問題ではなく、記録して相談できる問題です。まずは受けている言動を書き残すことと、心身の状態を専門家に見てもらうことから始めましょう。

モラハラか迷う言動を詳細に記録する

厚生労働省は職場のパワーハラスメントを、3つの要素をすべて満たすものと定義しています(あかるい職場応援団)。

  1. 優越的な関係を背景とした言動
  2. 業務上必要かつ相当な範囲を超えたもの
  3. 労働者の就業環境が害されるもの

代表例として挙げられている6つの類型のうち、モラハラは精神的な攻撃・人間関係からの切り離し・過小な要求に当てはまることが多くあります。

自分の受けている言動が該当するかどうかを、無理に一人で結論づけなくて構いません。記録さえ残っていれば、相談先が判断の材料にできます。残す項目は、次の5つを参考にしてください。

  1. 日時と場所
  2. 言われた内容をそのままの言葉で
  3. その場にいた人の名前
  4. 業務への影響
  5. そのあとの自分の体調
記録項目 記載例 注意点
日時・場所 〇月〇日15時ごろ、会議室 記憶が新しいうちに記録する
具体的な言動 可能な範囲で実際の言葉を記録 感想と事実を分けて書く
同席者 同じ会議に参加していた人 確認していない証言を書かない
業務への影響 必要な情報が共有されず作業が遅れた 具体的な支障を記録する
心身への影響 眠れない、動悸、食欲低下 症状が強ければ医療機関へ相談する

記録を残すときの注意

顧客情報、営業秘密、社内資料、第三者の個人情報を無断で私物端末へ保存したり、社外へ持ち出したりしないでください。保存してよい範囲が分からない場合は、資料を持ち出す前に労働局や弁護士などへ相談しましょう。

記憶は日がたつほど曖昧になるため、その日のうちにスマートフォンのメモへ残してください。メールやチャットの文面は画面を保存し、個人の端末にも控えておくと、退職後に社内システムを使えなくなっても手元に残ります。

心身に不調があれば医療機関や公的相談窓口へ相談する

眠れない日が続く、食欲が落ちた、出社前に動悸がするといった変化が出ているなら、我慢できる範囲かどうかを自分で判断しないでください。

心療内科や精神科を受診すると、症状が続いている事実が診療の記録として残ります。診断書は、休職を申し出るときにも、退職の時期を早めたいときにも、状況を裏づける資料です。

誰に相談すればよいか分からないときは、厚生労働省のこころの耳という選択肢もあります。こころの耳は、働く人のメンタルヘルスに特化したポータルサイトで、電話・SNS・メールという3つの窓口を匿名かつ無料で利用できる仕組みです。

社内の相談窓口には話しづらい内容でも、社外の窓口であれば人間関係を気にせずに済みます。受診の記録や診断書は、書き残した言動の記録と同じ場所にまとめて保管してください。

モラハラを理由に退職するときの伝え方と退職日の決め方

記録と相談の準備ができたら、退職の意思をどう伝えるかを決めます。

モラハラを受けている状況では、口頭で伝えただけだと「聞いていない」と言われるおそれもあるため、伝える言葉と残し方の両方を先に固めておくほうが安全です。ここでは、退職日の決め方と、記録が残る伝え方を確認しましょう。

退職の意思は、希望日を添えて伝える

退職を申し出るときは、「一身上の都合により、〇月〇日をもって退職いたします」と、希望する退職日まで含めて伝えます。日付を出さずに「辞めたい」とだけ伝えると、話し合いが引き延ばされ、退職の時期が決まらないまま日数だけが過ぎかねません。

期間の定めのない雇用契約では、退職の申し入れから2週間が経過すれば契約は終了します(民法第627条)。

一方で、就業規則に「退職の1か月前までに申し出ること」と定めている会社もあるため、まず就業規則を確認してください。実際の退職日は、引き継ぎの状況と自分の体調の両方を見ながら会社と調整します。

モラハラを退職理由として伝えるかどうかは、自分で選んで構いません。理由を詳しく説明する義務はなく、「一身上の都合」で十分です。

退職届・メールなど、伝達の記録が残る方法を併用する

対面で伝えただけでは、あとから「聞いていない」と言われたときに反証できません。退職を申し出た日は、その日のうちにメールで要点を送り、文面として残しておきましょう。

件名を「退職のご相談の件」とし、面談した日時、伝えた退職希望日、同席者を簡潔に書けば十分です。

伝え方は次の4つがあり、記録として残るものがそれぞれ違います。

伝え方 残せる記録 利用場面
対面・オンライン面談 面談後に自分で作成したメモ 退職意思や希望日を説明する
メール 送信日時、宛先、本文 面談内容や退職意思を確認する
退職届 控えや受領記録があれば提出内容を確認できる 退職する意思を書面で示す
内容証明郵便 差出日、差出人・宛先、文書内容 書面を受け取ってもらえない場合など
配達証明 郵便物を配達した事実 会社へ届いた日付も残したい場合

まずは面談とメールの組み合わせで進め、やり取りが滞ったときに書面へ切り替えてください。

退職前に確認したい有給・離職票・雇用保険の取り扱い

退職日が決まったら、辞めたあとの生活に関わる手続きを確認します。

モラハラから離れることを優先するあまり、有給休暇や離職票の扱いを確かめないまま辞めてしまうと、収入が途切れる期間が長くなりかねません。ここでは、最終出勤日の決め方と、退職後に必要な書類を整理しましょう。

最終出勤日と退職日を分けて、有給や引き継ぎを整理する

最終出勤日は最後に出社する日で、退職日は雇用契約が終わる日です。2つに分けて考えると、残っている有給休暇を消化しながら、加害者と顔を合わせる日数を減らせます。

年次有給休暇は、原則として労働者が時季を指定して取得できる休暇です。ただし、退職日を過ぎると取得できなくなるうえ、会社から別の日への変更を求められる場合もあるため、残日数と充てる時期を早めに確認してください。

たとえば残りが20日あるなら、土日祝を除いて約1か月分にあたります。退職日から逆算して最終出勤日を決めておきましょう。残日数は給与明細や勤怠システムで確認できます。上司に聞きづらい状況なら、人事や総務へ直接問い合わせても構いません。

離職票など、退職後の手続きに必要な書類を確認する

退職後に受け取る書類のうち、失業給付の手続きで必要になるのが離職票です。会社がハローワークへ手続きをしたあとに交付されるため、退職日当日には手元にありません。退職前に、発行の有無といつごろ届くかを確認しておきましょう。

離職理由の扱いも重要です。ハローワークが示す特定受給資格者の範囲には、「上司、同僚等からの故意の排斥又は著しい冷遇若しくは嫌がらせを受けたことによって離職した者」が挙げられています。

該当するかどうかを判断するのはハローワークです。記録を残しておけば、離職理由を説明するときの材料になります。離職票のほかに受け取るのは、雇用保険被保険者証と源泉徴収票の2点です。何をいつ送ってもらえるのか、退職前に一覧にして確認してください。

書類・情報 主な用途 確認事項
離職票 失業等給付の手続き 離職理由と送付予定日
雇用保険被保険者証 転職先での雇用保険手続き 会社保管か本人保管か
源泉徴収票 年末調整・確定申告 送付先住所と交付時期
健康保険資格喪失証明書 国民健康保険などへの切り替え 発行主体と受取方法
有給休暇の残日数 最終出勤日の調整 退職日までの取得可能日

会社が引き止める・退職届を受け取らないときの相談方法

退職を伝えたあとに、強い引き止めを受けたり、退職届の受け取りを拒まれたりする場合があります。モラハラを受けている状況では、そのやり取り自体が新たな負担になりかねません。ここでは、社外の相談先と、対面のやり取りを続けなくてよい場面を確認します。

社内で解決が難しいときは、都道府県労働局の相談窓口を確認する

社内の相談窓口が機能していない、あるいは相談相手が加害者と近い立場にある場合は、社外の窓口を使ってください。厚生労働省の総合労働相談コーナーは、都道府県労働局や労働基準監督署内など全国378か所に設置されており、無料・予約不要で利用できます(2026年8月時点)。

この窓口では、いじめ・嫌がらせやパワハラから、解雇や退職に関する相談まで幅広く扱っているため、安心して相談できるでしょう。

相談の内容によっては、個別労働関係紛争の解決の促進に関する法律に基づく助言・指導やあっせんの案内を受けられます。まずは電話で状況を伝え、次にどう動けばよいかを聞くところから始めましょう。

相談へ行くときは、これまでの記録に加えて、就業規則・雇用契約書・退職を伝えた日のメールを持参すると、話が早く進みます。

相談先 相談内容 利用の目安
社内相談窓口・人事 事実確認、配置、加害者との接触回避 社内で安全に相談できる場合
総合労働相談コーナー 嫌がらせ、退職、労働条件など 相談先や対応方法が分からない場合
こころの耳・医療機関 睡眠、食欲、動悸、気分の落ち込み 心身に変化が出ている場合
ハローワーク 離職理由、失業等給付 離職票の理由に異議がある場合
弁護士・法テラスなど 損害賠償、退職トラブル、法的対応 個別の法的判断が必要な場合

総合労働相談コーナーが全国378か所という記載は、2026年4月1日時点の厚生労働省情報と一致しています。厚生労働省「総合労働相談コーナー」

緊急性が高いときは、無理に対面でのやり取りを続けない

出社しようとすると動悸や吐き気が出る、言動がエスカレートしているといった状況では、対面でのやり取りを続ける必要はありません。退職の手続きは、メールと郵送だけでも進められます。

退職届を手渡しできないときに使えるのが、内容証明郵便です。いつ、どのような内容の文書を誰から誰へ差し出したかを郵便局が証明する仕組みで、配達証明を付ければ相手に届いた日付も残ります。

体調を理由に出社を控えるなら、医師の診断書を用意しておきましょう。有給休暇や欠勤で出社を止めたうえで、書類のやり取りだけを進めても構いません。会社にどう思われるかより、自分の心身を守ることを優先してください。

モラハラから離れたあと、安心して働ける職場を選ぶために条件を整理する

退職の見通しが立つと、次はどの職場を選ぶかという問題が残ります。つらかった経験は思い出したくないものですが、次の職場で避けたい条件を具体的な言葉にするための材料です。ここでは、その経験を求人選びの基準へ変える進め方を紹介します。

避けたい関わり方を、求人確認で使える条件に言い換える

「人が怖い」で止めてしまうと、求人票を見ても判断できません。どんな関わり方が苦しかったのかを一つずつ書き出し、確認できる条件に言い換えてください。

つらかった状況 次の職場で確認すること 面接での質問例
人前で叱責された 評価やフィードバックの方法 業務の振り返りや評価面談はどのように行われますか?
業務連絡を共有されなかった 連絡・情報共有の手段 部署内ではどのように業務情報を共有していますか?
仕事を与えられなかった 入社後の業務と教育体制 入社後3か月ほどで担当する仕事を教えてください。
上司以外に相談できなかった 相談窓口や面談制度 配属後に仕事や人間関係を相談できる窓口はありますか?

言い換えたあとは、面接で聞く質問の形にしておきましょう。「日々の業務連絡はどの手段で行っていますか」「入社後3か月で任される仕事を教えてください」と具体的に尋ねれば、答え方から職場の状況が見えます。

20代・未経験向けの転職支援で、希望を職種や職場環境へ落とし込む

避けたい条件を書き出しても、それが職種や求人の条件にどう結びつくのかまでは、一人では見えにくいものです。同じ「人間関係が合わない」でも、原因が上司との距離感なのか、チームの人数や年齢構成なのかで、選ぶべき職場は変わります。

ツナグバが専門にしているのは、20代・未経験からの転職です。これまでの支援実績は累計15,000名にのぼり(2026年8月時点)、内定までに重ねる面談は1人あたり平均10回になります。

職務経歴を確認するだけでなく、これまでの職場で何がつらかったのか、どんな場面なら落ち着いて働けたのかまで一緒に掘り下げます。

求人票には書かれない職場の雰囲気や既存メンバーの年齢構成も踏まえて選べるため、同じ理由で辞める事態を避けやすくなるでしょう。退職日が決まる前の段階でも相談して構いません。ぜひ、活用してください。

モラハラを理由とする退職についてよくある質問

Q. モラハラを証明できなくても退職できますか?

期間の定めがない雇用契約では、モラハラを証明できなければ退職できないという決まりはありません。ただし、有期契約の途中退職や離職理由の取り扱いでは個別の確認が必要です。

Q. 退職理由としてモラハラを会社へ伝える必要はありますか?

詳しい事情を必ず退職届へ書く必要はなく、「一身上の都合」とする方法もあります。ただし、会社へ調査や対応を求める場合や、離職理由について説明する場合は、具体的な事実を整理して伝えます。

Q. モラハラの記録として何を残せばよいですか?

日時、場所、具体的な言動、同席者、業務への影響、体調の変化などを、事実と感想に分けて記録します。会社や第三者の機密情報を無断で持ち出さないよう注意してください。

Q. 退職届を受け取ってもらえない場合はどうしますか?

メールや郵送など、退職意思を伝えた記録が残る方法を検討します。内容証明郵便を利用する場合は、必要に応じて配達証明も付けます。個別の判断に迷う場合は、総合労働相談コーナーや弁護士へ相談してください。

Q. 退職前に残っている有給休暇を使えますか?

在籍中であれば年次有給休暇を取得できます。会社は退職日より後へ取得時季を変更できないため、残日数を確認し、退職日までの取得予定を早めに申請しましょう。

Q. 離職票が自己都合になっていたら変更できますか?

最終的な離職理由はハローワークが事実関係を確認して判断します。会社の記載に異議がある場合は、離職票の該当欄へ異議がある旨を記載し、記録などを持参して説明してください。

Q. 体調が悪くて会社へ行けない場合はどうすればよいですか?

医療機関を受診し、有給休暇、欠勤、休職などの扱いを会社へ相談してください。無断欠勤は避け、対面が難しい場合はメールや電話などで連絡方法を調整しましょう。

モラハラから離れるために、退職の準備と次の職場選びを並行しよう

モラハラを理由に退職するときは、記録・相談・伝え方・退職後の手続きという順番で進めると、判断に迷う場面を減らせます。

まずは、直近の出来事をメモに書き出しましょう。そのうえで、体調に不調があれば医療機関を受診し、社内で解決が難しければ総合労働相談コーナーへ連絡してください。

退職を申し出るときは希望日を添え、面談の内容は当日中にメールで残します。有給の残日数と離職票の送付時期の確認も、退職日が決まる前に済ませておくと安心です。

退職の準備と並行して、次の職場の選び方も考えておきましょう。避けたい条件を言葉にしないまま求人を探すと、同じような環境を選んでしまいかねません。

一人で整理しきれないと感じたら、相談してみてください。ツナグバは、20代・未経験からの転職を専門に支援するエージェントです。

平均10回の面談でつらかった場面と避けたい条件を一緒に言語化し、求人票では見えにくい職場の雰囲気まで確認しながら、次の一社を探します。気になる人はぜひ、お問い合わせください。

モラハラから離れたあとの職場選びも、一人で抱え込まず相談しませんか

退職の準備を進めても、つらかった経験を次の職場選びの条件へどう置き換えるか、求人票だけで職場の雰囲気まで判断できるかで迷うことがあります。ツナグバでは、避けたい関わり方と希望する環境を整理したうえで、職種や求人選びを相談できます。

  • 相談無料
  • 20代・未経験向け求人を紹介
  • 避けたい関わり方を職場選びの条件へ整理
  • 面接対策から入社後の定着まで支援

安心して働ける職場選びを無料で相談する

この記事の監修

海老名 信行

海老名 信行

取締役/COO
株式会社ツナグバ

大学卒業後、株式会社ギャプライズにてWebマーケティング支援の営業として、大企業を中心とした新規顧客開拓とリレーション構築に従事。
次に、株式会社サイファーポイントに取締役/営業責任者として参画。新規顧客開拓、DXコンサルティング、WEBマーケティング支援を経験。
プロフィール紹介

よかったらシェアしてね!
  • URLをコピーしました!
目次