退職ラッシュで残された人がまずやること|仕事量・将来性から残るか判断する方法

この記事に書かれていること

退職ラッシュで残された直後は、増えた業務を可視化し、残業時間や引き継ぎ不足による支障を記録して、人員補充と業務分担の予定を上司に確認します。

会社に残るか転職するかは、業務改善の計画、役割に見合う評価と成長機会、長時間労働や心身の不調の有無を基準に判断します。

引き継ぎや業務改善の経験を強みに変え、次の職場では人員体制、募集理由、繁忙期の残業実績まで確認する方法を紹介します。

同じ部署から立て続けに退職者が出て、自分の仕事だけが増えていく。そんな状況に置かれると、「この会社は大丈夫なのか」「自分も早く動くべきではないか」と落ち着かなくなるでしょう。

ただ、退職ラッシュが起きたからといって、残るか辞めるかをすぐに決める必要はありません。まず増えた業務と残業時間、会社の人員計画、自分の心身の状態を分けて確認し、改善の見込みがあるかどうかを見極めましょう。

この記事では、残された直後にする3つの行動、残るか転職かを判断する基準、改善しないときの相談先を順に整理します。

目次

退職ラッシュで残された人は負担と会社の対応を分けて確認しよう

退職者が続く職場にいると、「人が辞めていく会社にいても仕方がない」と考えたくなります。ただ、退職者が多いという事実だけでは、転職すべきかどうかまでは判断できません。

これは、人手が一時的に減っているだけの状態と、採用や配置に手を打てない状態とでは、この先の見通しがまったく違うためです。分けて確認したいのは以下の3点です。

  • 自分の業務量と労働時間がどれだけ変わったか
  • 会社が人員補充や業務の割り振りをどうする予定なのか
  • 自分の心身に不調が出ていないか

退職ラッシュのなかでいちばん消耗するのは、忙しさそのものより、いつまで続くか分からない状態です。まずは手元の状況を目に見える形にするところから始めましょう。

退職ラッシュで残された直後にする3つの行動

引き受けた仕事を抱えたまま考え込むと、判断に必要な材料が集まりません。退職者が出た直後は以下の行動を取りましょう。

  • 増えた業務を可視化し、優先順位と期限を決める
  • 残業時間と引き継ぎ不足による支障を記録する
  • 上司に人員補充・業務分担・支援の予定を確認する
やること 記録・確認する内容 目的
業務を可視化する 業務名、頻度、所要時間、期限 対応できる仕事量を上司と共有する
労働時間を記録する 始業・終業時刻、残業時間、休日対応 負担の変化を客観的に把握する
引き継ぎ不足を記録する 不明な手順、権限不足、確認待ちの事項 ミスや遅延の原因を明確にする
会社の計画を確認する 採用時期、応援体制、業務分担、期限調整 負担が一時的か長期化するかを判断する

いずれも1週間以内に着手でき、残る場合にも辞める場合にも役立ちます。

増えた業務を可視化し、優先順位と期限を決める

まず、退職者から引き継いだ業務を書き出しましょう。

  • 業務名
  • 発生する頻度
  • 1回あたりにかかる時間
  • 期限

上記4項目を可視化すると、増えた負担が浮き彫りになります。自分の所定労働時間と比べて、何時間超過しているのかまで計算しておくと、上司にも伝わりやすくなります。

ただし、優先順位は自分だけで決めないほうが安全です。一覧を上司に見せ、「この順番で進め、この業務は期限を延ばしたい」と確認しておけば、後から「なぜあれが遅れているのか」と問われる事態を防げます。

残業時間と引き継ぎ不足による支障を記録する

記録するのは、日付、始業と終業の時刻、残業時間、その日に時間がかかった業務です。あわせて、引き継ぎが足りずに起きた支障も書き残しておきましょう。

前任者しか知らない手順が分からない、共有ファイルのパスワードが不明、取引先とのこれまでの経緯が追えないといった内容が該当します。

労働時間の把握は、本来は会社の義務です。事業者は労働者の労働時間の状況を把握しなければなりません(労働安全衛生法第66条の8の3)。

加えて、週40時間を超えた労働時間が1か月あたり80時間を超えた労働者には、事業者が超えた時間を通知しなければなりません(労働安全衛生規則第52条の2)。

週40時間を超える労働時間が月80時間を超えているにもかかわらず通知がない場合は、労働時間の管理が十分に行われていない可能性があります。

会社の勤怠記録とは別に、自分の手元にも記録を残してください。上司への相談や転職活動で経験を説明する際にも活用できます。

上司に人員補充・業務分担・支援の予定を確認する

上司に伝えるときは、「大変です」ではなく、書き出した業務一覧を見せながら話します。確認したいのは、後任の採用予定とその時期、そして業務の割り振りを見直す予定があるかどうかです。

あわせて、他部署からの応援や外部への委託を検討できるか、期限を延ばせる業務はどれかも聞いておきましょう。

回答を口頭で受けた場合は、「先ほど伺った内容を確認させてください」とメールで送り、記録に残しておきましょう。

人員補充の時期が示されるなら、そこまでの期間を乗り切る計画を立てられます。反対に、「もう少し頑張ってほしい」で話が終わるようであれば、その反応自体が会社の状況を示す材料になります。

会社に残るか転職を考えるかの判断基準

会社に残るか転職するかで悩んだ際は、以下の判断基準をもとに検討しましょう。

  • 人員補充と業務改善の計画が具体的に示されているか
  • 増えた役割に見合う評価と成長機会があるか
  • 長時間労働や心身の不調が続いていないか
確認項目 残る判断材料 転職を検討する材料
人員補充 人数と採用時期が具体的 採用予定がなく、回答も曖昧
業務分担 優先順位や担当範囲が見直される 退職者の仕事が追加され続ける
評価・待遇 役割が評価や待遇に反映される 責任だけ増え、評価基準が変わらない
労働時間 残業削減の具体策が実施されている 長時間労働が常態化している
心身の状態 休息を取れ、体調を維持できている 睡眠・食欲・気分などに変化がある

一つの項目だけで退職を決める必要はありません。ただし、心身の不調がある場合は、会社の改善を待つことよりも休息や医療機関への相談を優先してください。

退職ラッシュの渦中では、感情が先に動きがちです。判断の材料を明確にしておくと、いま辞めるべきかどうかを落ち着いて考えられます。

人員補充と業務改善の計画が具体的に示されているか

人員補充と業務改善の計画が具体的かどうかは、時期と人数、担当範囲が示されているかで判断できます。「採用は進めている」という説明だけでは、来月なのか半年後なのかが分かりません。

自社の採用ページや求人サイトに実際に募集が出ているか、募集職種は欠員が出た部署のものか、といった点は自分でも調べられます。募集が出ており、実際に面接が進んでいることも確認できるなら、一時的な人手不足として今後の見通しを立てやすくなるでしょう。

一方、半年経っても募集が出ない、退職した人の業務が残った社員に配られるだけ、という状態が続くなら、採用や配置に手を打てない状態と考えられます。その場合は、自分が耐えれば解決する問題ではありません。

増えた役割に見合う評価と成長機会があるか

業務量が増えても、等級や給与、評価が以前のままであれば、モチベーションは上がりにくいでしょう。次の評価時期に何を見られるのか、引き受けた業務が評価の対象に入るのか、役割に応じた手当があるのかを、上司や人事に確認してください。

あわせて、増えた業務が自分の経験として役立つかどうかも考えます。後輩の指導や業務改善、これまで関わらなかった領域の仕事であれば、次のキャリアにつながります。単に同じ作業の量が増えただけで、評価にも反映されないのであれば、残り続ける理由は乏しいでしょう。

長時間労働や心身の不調が続いていないか

時間外労働には法律で上限があります。労働基準法第36条では、36協定を結んだ場合でも、時間外労働の限度は原則として1か月45時間、1年360時間とされています。

臨時的な特別の事情があり、特別条項を結んだ場合でも上限がなくなるわけではありません。休日労働を含めて単月100時間未満、2か月から6か月の平均で80時間以内、1年720時間以内に収める必要があります。さらに、月45時間を超えられるのは年6か月までです。

長時間労働が続き、こうした上限に近づいている場合は、会社の対応を待つだけではなく、早めに相談などの行動を取ることが大切です。

体調の面でも、眠れない日が続く、食欲がないといった状態が2週間以上続くようなら、判断を先延ばしにせず医療機関を受診してください。健康を損なってからでは、転職活動にも支障が出てしまいます。

労働環境が改善しないときは一人で抱え込まず相談する

労働環境が改善しないときは、一人で抱え込まず、社内外の窓口に相談しましょう。上司に伝えても状況が変わらない場合は、我慢を続けるのではなく、別の相談先を利用することも大切です。

社内の人事・相談窓口へ業務量と体調の状況を伝える

上司に報告しても話が進まない場合は、人事部門や健康管理の担当窓口、産業医に相談する方法があります。伝えるのは、引き継いだ業務の一覧、残業時間の推移、体調の変化の3つです。

医師による面接指導の仕組みも知っておきましょう。

週40時間を超えた労働時間が1か月あたり80時間を超え、疲労の蓄積が認められる労働者は、会社に面接指導を申し出ることができます。申し出があれば、会社は医師による面接指導を行わなければなりません(労働安全衛生法第66条の8、労働安全衛生規則第52条の2・第52条の3)。

申し出は口頭でも構いませんが、メールや書面で残しておくと、いつ申し出たかという記録になるのでおすすめです。

労働条件に問題があるときは公的な相談窓口を利用する

社内で解決しない場合や、社内には言いにくい場合は、外部の窓口を利用できます。都道府県労働局や労働基準監督署に設置されている総合労働相談コーナーでは、職場の労働問題について無料で相談を受け付けています。

残業代が支払われていない、36協定の上限を超える時間外労働が続いているといった内容であれば、労働基準監督署に相談しましょう。

また、気持ちの落ち込みが続いている場合は、厚生労働省が運営する「こころの耳」でも、働く人向けの相談窓口を案内しています。相談する際は、勤怠の記録、業務一覧、上司とのやり取りのメールを手元に用意しておくと、状況を短時間で伝えられます。

相談先 相談できる内容 用意しておきたいもの
上司・人事 業務分担、人員補充、残業、配置 業務一覧、残業時間、相談内容
産業医・社内健康窓口 長時間労働や心身の不調 体調の変化、勤務時間の記録
総合労働相談コーナー 配置、労働条件、嫌がらせなど幅広い労働問題 雇用契約書、勤怠、会社とのやり取り
労働基準監督署 未払い残業や違法な長時間労働など 給与明細、勤怠記録、36協定の情報
医療機関・こころの耳 睡眠、食欲、気分などの心身の変化 症状が始まった時期や生活への影響

総合労働相談コーナーは、労働問題について労働者・事業主の双方から無料で相談を受け付けています。厚生労働省「総合労働相談コーナー」

退職ラッシュで得た経験を、次の職場選びの軸に変える

転職を考える場合でも、退職ラッシュのなかで過ごした時間は無駄になりません。引き継ぎや調整をこなした経験は職務経歴として記載できます。

また、何がつらかったのかは、次の職場を選ぶときの基準になります。今の職場で得たものを整理してから動きましょう。

引き継ぎ・調整・業務改善の経験を自分の強みとして整理する

自分の強みとして書き出すのは、以下の3点です。

  • 引き継いだ業務の件数
  • 担当範囲の変化
  • 自分が工夫したこと

人手が足りない職場で仕事を回した経験は、そのままでは伝わりにくいため、具体的な行動に落とし込んで整理しましょう。

たとえば「3人分の業務のうち、請求処理と問い合わせ対応を引き受けた」と書けば、担当範囲の変化が伝わります。

さらに「手順書を作成し、処理時間を1件あたり30分から15分に短縮した」と添えると、業務改善の経験として読んでもらえます。忙しさを抽象的に説明するのではなく、増えた仕事をどう回したかを具体的に書くのがポイントです。

ツナグバの面談で避けたい働き方と希望条件を言語化する

退職ラッシュを経験した人は、「どのような職場なら長く働けそうか」だけでなく、「どのような環境は避けたいか」も具体的に考えられるようになります。

人員が減っても補充されない、業務の割り振りが見直されない、相談しても十分な回答が得られないといった経験は、次の職場選びで確認すべき条件になるでしょう。

ツナグバでは、20代・未経験の転職支援で1人あたり平均10回の面談を行い、現在の職場で何に負担を感じているのかを一つずつ整理します。「人員に余裕のある職場がいい」「相談しやすい上司がいる環境で働きたい」など、避けたい働き方を具体的な希望条件に置き換えることで、求人を見る際のチェックポイントも明確になります。

退職ラッシュをきっかけに転職するのであれば、単に今の職場から離れることだけを目的にするのではなく、同じ状況を繰り返さないための条件を整理しておくことが大切です。

求人票では見えにくい人員体制や職場の雰囲気まで確認する

求人票に載るのは、給与や勤務時間、休日といった勤務条件です。配属予定の部署に何人いるのか、直近1年で何人辞めたのか、いま欠員が出ていないかは、求人票からは読み取れません。

面接では、配属先の人数構成、募集の理由が増員か欠員の補充か、繁忙期の残業実績を聞いておきましょう。

自分から聞きにくい内容であれば、転職エージェントの担当者に確認してもらう方法もあります。人員体制を確かめてから決めるだけで、同じ思いを繰り返す可能性は下がるので、ぜひ実践してください。

退職ラッシュで残された人によくある質問

Q. 退職ラッシュが起きる会社は危険ですか?

退職者が続いたことだけでは判断できません。人員補充の予定、業務分担の見直し、退職理由の傾向、自分の労働時間や体調を分けて確認しましょう。会社が具体的な改善策を示さない場合は、転職活動を並行して始めることも選択肢です。

Q. 辞めた人の仕事を断ることはできますか?

一方的に拒否するのではなく、現在の業務量、所要時間、期限を一覧にして上司へ相談しましょう。「すべて対応することは難しいため、優先順位と期限を決めてください」と判断を求める伝え方が現実的です。

Q. 退職ラッシュが起きたら自分もすぐ辞めるべきですか?

すぐに退職を決める必要はありません。ただし、長時間労働や心身の不調がある場合は、無理に様子を見続けず、休息、医療機関への相談、転職準備などを優先してください。

Q. 退職者が多いことを転職理由にしてもよいですか?

退職者の多さだけを理由にするより、業務分担や人員体制が改善されず、長期的に働くことが難しいと判断した経緯を簡潔に説明しましょう。そのうえで、次の職場で実現したい働き方へつなげます。

Q. 面接で応募先の退職者数を聞いてもよいですか?

質問しても問題ありませんが、人数だけでなく、「今回の募集は増員ですか、欠員補充ですか」「配属先の人数構成を教えてください」など、採用背景や体制を確認する聞き方が自然です。

退職ラッシュで残されたときは、自分を守る情報を集めて判断しよう

退職ラッシュで残された人がまずやることは、残るか辞めるかを決めることではありません。引き継いだ業務を書き出し、残業時間と支障を記録し、人員補充と業務分担の予定を上司に確認するところから始めます。

そのうえで、改善の計画が具体的か、増えた役割が評価されるか、心身に不調が出ていないかを確認すれば、感情に流されず今後の方向性を考えられます。

退職ラッシュで消耗する前に、次の働き方を整理しませんか

増えた業務や残業で疲れていると、今の会社に残るか転職するかを一人で決めるのは難しいものです。ツナグバでは、現在の負担と避けたい職場環境を整理し、無理なく続けられる働き方を一緒に考えます。

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この記事の監修

海老名 信行

海老名 信行

取締役/COO
株式会社ツナグバ

大学卒業後、株式会社ギャプライズにてWebマーケティング支援の営業として、大企業を中心とした新規顧客開拓とリレーション構築に従事。
次に、株式会社サイファーポイントに取締役/営業責任者として参画。新規顧客開拓、DXコンサルティング、WEBマーケティング支援を経験。
プロフィール紹介

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