アルバイトを続けていると、「この働き方をいつまで続けられるだろうか」と考える瞬間があると思います。求人サイトを開けば「未経験歓迎」の求人はいくらでも見つかるものの、そのうちどれが数年後の自分に残る仕事なのかまでは書かれていません。
手に職をつけられるかどうかを分けるのは、特別な才能ではなく、入った先で経験と資格が積み上がる仕事を選べるかどうかです。介護福祉士のように、働いた日数が国家試験の受験資格につながる資格もあり、20代であれば、働きながら専門性を育てる道筋を十分に組み立てられます。
ここからは、フリーターが手に職をつけるメリット、職業訓練・資格・未経験可の求人という3つの入り方、挑戦しやすい職種と選び方の基準を順に確認しましょう。
フリーターが手に職をつけることによって得られるメリット
手に職をつけると聞いて、学校に通い直す姿や、まとまった費用をかけて資格を取る場面を思い浮かべた方も多いと思います。ただ、20代のフリーターが正社員を目指す場合、その遠回りは必ずしも必要ではありません。
ここでは、働きながら経験を積める点と、次の転職で使える専門性が残る点の2つから、手に職をつける意味を整理しましょう。
経験を積みながら正社員として働ける
手に職につながる仕事の多くは、資格や実務経験を先にそろえなくても、正社員として働きながら身につけられます。未経験可の求人は、入社後の研修や現場での指導を前提に人を採る設計になっているためです。
わかりやすいのが介護の分野です。介護福祉士の国家試験を実務経験ルートで受けるには、対象となる施設・職種での従業期間が3年(1,095日)以上、従事日数が540日以上あることに加えて、実務者研修の修了が求められます(公益財団法人 社会福祉振興・試験センター)。裏を返せば、無資格で入っても、働いた日数そのものが受験資格に変わる仕組みです。
そのため応募先を選ぶときは、いま自分が持っている資格ではなく、その仕事を3年続けたときに何が手元に残るのかで見比べてください。
転職時に活かせる専門性を育てやすい
職種の専門性は、次に転職するときの選択肢を広げます。
アルバイトの経験は担当した業務を自分の言葉で説明するしかないのに対し、専門性は資格や実務年数という共通の物差しで相手に伝わるためです。採用担当者は限られた時間で複数の応募者を比べるので、誰が読んでも同じ意味に受け取れる経歴のほうが検討の土俵に乗りやすくなります。
建設分野の施工管理がその典型です。2級施工管理技術検定の第一次検定は、令和6年度から、試験実施年度に満17歳以上であれば学歴や実務経験を問わず受検できるようになり、第二次検定では実務経験が問われます(国土交通省)。現場で過ごした年数が、そのまま資格の要件として認められるわけです。
だからこそ職種を選ぶときは、3年後・5年後に手が届く資格から逆算してみてください。
| 分野 | 入社直後 | 3年後に目指せる状態 |
|---|---|---|
| IT | ヘルプデスク・運用・テスト | 実務経験+IT資格+担当できる技術領域 |
| 建設・技術 | 施工管理補助・電気工事 | 実務経験+施工管理・電気工事関連資格 |
| 介護・福祉 | 無資格・未経験から介護業務 | 実務経験+介護福祉士を目指せる段階 |
フリーターが手に職をつけるための方法
手に職をつける入り方は、大きく3つに分かれます。ハローワークの公的な職業訓練を使う方法、資格を先に取る方法、そして未経験可の正社員求人に入って現場で覚える方法です。どれが向いているかは、いま使える時間と生活費の余裕によって変わります。
| 方法 | 向いている人 | メリット | 注意点 |
|---|---|---|---|
| 公的職業訓練 | 働く前に基礎から学びたい | 原則受講料無料で学べる | 受講要件・期間を確認する |
| 資格取得 | 目指す職種が決まっている | 知識や技能を客観的に示せる | 就職に直結する資格か確認する |
| 未経験可の正社員求人 | 収入を得ながら経験を積みたい | 実務経験を早く積める | 研修・指導体制の確認が必要 |
公的な職業訓練を使う
働く前に基礎から学び直したいなら、ハロートレーニング(公的職業訓練)を検討してください。原則として受講料は無料で、テキスト代などの実費だけを負担する仕組みになっています(厚生労働省)。
雇用保険の失業給付を受けられないアルバイトの方でも、求職者支援制度の対象になる場合があり、要件を満たせば職業訓練受講手当として月10万円、通所手当として月額上限42,500円が支給されます。
ただし、本人収入が月8万円以下、世帯全体の収入が月30万円以下、世帯の金融資産が300万円以下、訓練実施日すべてに出席することなど、条件は細かく決まっています(厚生労働省)。
条件に当てはまるかどうかは自己判断が難しいため、受講したい訓練を決める前に、住まいを管轄するハローワークで相談してみましょう。
資格を取得する
資格は「先に取ってから就職する」より、「実務と並行して取る」ほうが未経験からは進めやすくなります。取得までの期間が読めない資格に時間を使うと、その間の収入が止まってしまいかねません。
資格は、受験に実務経験が要るものと要らないものに大きく分かれます。
第二種電気工事士は実務経験が不要で誰でも受験でき、学科試験と技能試験の2段階で実施されます。技能試験は出題候補問題が事前に公表されるため、独学でも準備の見通しを立てやすい試験です(一般財団法人 電気技術者試験センター)。
一方、先ほどの介護福祉士のように、3年の実務経験が受験の前提になる国家資格もあります。
就職前に取るなら受験資格の制限がない資格を、入社後を見据えるなら実務経験が要件になる資格を選ぶと、勉強した時間が無駄になりません。
未経験可の正社員求人に入って現場で覚える
いちばん早く技能が身につくのは、未経験可の正社員求人に入り、現場で覚える方法です。職業訓練や資格は入口を広げてくれるものの、実務経験そのものの代わりにはなりません。
注意したいのは、「未経験可」と書かれていても育成の中身は求人ごとに違う点です。研修期間が3か月ある職場もあれば、初日から現場に出て、教えてくれる人が固定されていない職場もあります。後者に入ると、数年働いても人に説明できる技能が残らないという事態が起こりかねません。
応募前に、研修期間の長さ・指導担当者がつくかどうか・資格取得支援の有無の3点を求人票で確認し、書かれていなければ面接で質問してください。
フリーターでも手に職をつけやすい職種
未経験から専門性を育てやすいのは、人材が慢性的に不足していて、なおかつ技能の水準を資格で示せる分野です。
ここではIT・エンジニア系、建設・技術系、介護・福祉系の3分野について、入り口となる仕事と目指せる資格を整理します。
| 分野 | 未経験からの入り口 | 目指せる資格 | 向いている人 | 確認したい働き方 |
|---|---|---|---|---|
| IT・エンジニア系 | ヘルプデスク・運用保守・テスト | ITパスポート・基本情報技術者試験 | 新しいことを学び続けられる | 障害対応・夜間対応 |
| 建設・技術系 | 施工管理補助・電気工事 | 2級施工管理技術検定・第二種電気工事士 | 現場で経験を積みたい | 勤務地・体力負担・直行直帰 |
| 介護・福祉系 | 介護施設の介護職員など | 介護職員初任者研修・介護福祉士 | 人を支える仕事を続けたい | 夜勤・施設系/訪問系の違い |
IT・エンジニア系
IT分野は、入社時点の学歴や職歴よりも、入社後に学び続けられるかどうかを重く見る求人が少なくありません。これは技術の入れ替わりが速く、社内で教育する前提の職場が多いためです。
未経験からの入り口になりやすいのは、ヘルプデスクや運用・保守、テスト工程といった仕事でしょう。いずれもシステムが動く仕組みに毎日触れられるため、独学だけでは得にくい実務の感覚が身につきます。
資格の面でも、ITパスポートと基本情報技術者試験は通年で随時実施されており、働きながら受験日を選べます(情報処理推進機構(IPA))。
なお、有料のスクールに通わなければ就職できないわけではありません。受講を検討するときは、費用と期間に見合う支援があるかを確かめ、まず未経験可の求人に応募してみる選択肢も並べて比べましょう。
建設・技術系
建設・技術系では、資格と実務経験が待遇に直結しやすくなります。工事の種類ごとに有資格者を配置する決まりがあり、資格を持つ人そのものが職場で必要とされるためです。
先に触れたとおり、2級施工管理技術検定の第一次検定は、令和6年度から満17歳以上であれば受検できます。第二次検定には実務経験が必要になるので、入社してから受検要件を満たす流れが現実的でしょう。電気工事の分野では第二種電気工事士が入口の資格にあたり、こちらは実務経験なしで受験できます。
体力面の負担や勤務地の移動が気になる場合は、施工管理のように現場管理を担う職種と、実際に手を動かす職人の仕事とを分けて考えてください。同じ建設業でも、働き方は大きく違います。
介護・福祉系
介護・福祉系は、無資格・未経験でも入りやすく、そこから国家資格まで一本の道がつながっています。研修と資格の階段が制度として整えられているため、次に何を取ればよいのか明確です。
最初の一歩になるのが介護職員初任者研修です。都道府県または都道府県知事が指定した機関が実施する130時間の研修で、修了すると訪問介護で身体介護を含むサービスに従事できます(厚生労働省)。その先には、実務経験3年(1,095日)以上・従事日数540日以上と実務者研修の修了を受験要件とする介護福祉士があります。
夜勤の有無や利用者との関わり方は、施設系と訪問系で大きく異なる点に注意してください。求人に応募する前に、日勤のみの職場も含めて複数の働き方を比べておくと、続けやすさを見誤りません。
「手に職をつけたいけど、何を選べばいいか分からない」方へ
大切なのは、資格の人気だけで決めることではありません。
今の経験と続けられる働き方から、数年後に専門性が残る仕事を一緒に整理できます。
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フリーターが仕事を選ぶ5つの基準
同じ「未経験歓迎」の求人でも、数年後に手元へ何が残るかは職場しだいです。ここでは、応募先を絞り込むときに見ておきたい5つの基準を挙げます。求人票を開いたまま、上から順に照らし合わせてください。
「手に職が残る求人」5つのチェックポイント
未経験者を教える期間・担当者・仕組みがあるか
働いた経験が資格取得や次の転職につながるか
夜勤・残業・勤務地などを含めて数年続けられるか
同じ職種の求人を3社ほど並べて比較する
1年後・3年後にできるようになる仕事を説明できるか
未経験者向けの研修があるか確認する
最初に見るのは、未経験者向けの研修が用意されているかどうかです。教える仕組みがない職場では、技能の習得が本人の努力と、たまたま近くにいた先輩の面倒見に左右されてしまいます。
求人票で確認したいのは、研修期間の長さ、座学と現場のどちらで教わるのか、研修中の給与が支払われるかの3点です。「OJTあり」とだけ書かれている場合、実態は「先輩の作業を見て覚える」に近いこともあるため、面接で研修の進め方を具体的に聞いてみましょう。
質問した内容にすぐ答えが返ってくる職場は、それだけ教育の中身が決まっていると考えられます。答えが曖昧なときは、その求人を落とすのではなく、判断材料の一つとして記録しておいてください。
資格取得や実務経験につながるか見る
次に見るのは、その仕事が資格や実務経験につながるかどうかです。同じ職種でも、担当する業務の範囲によって、受験資格として認められる経験を積めるかどうかが変わります。
介護福祉士のように、対象となる施設・職種で働いた日数が受験要件になる資格では、配属先が要件に該当するかどうかが分かれ目になるでしょう。建設業でも、現場の作業だけを担当するのか、施工管理の補助まで任されるのかによって、数年後に受検できる検定が変わります。
面接では、入社後1年間で任される業務の範囲を聞き、資格取得支援制度の有無とあわせて確かめておきましょう。受験料や講習費の補助がある会社なら、費用の負担も抑えられます。
続けられる働き方か確認する
3つ目の基準は、その働き方を続けられるかどうかです。手に職をつけるには一定の年数が必要で、半年で辞めてしまえば、経験も資格も手元に残りません。
具体的に確かめたいのは、勤務時間帯、夜勤や休日出勤の頻度、通勤時間、繁忙期の残業の見込みです。介護なら夜勤の回数、建設なら現場の場所と直行直帰の可否、ITなら障害対応の当番があるかどうかが、続けやすさを左右します。給与額だけで比べていると、この部分が抜け落ちてしまいがちです。
いまの生活リズムから無理なく移れる範囲か、それとも生活を作り替える必要があるのかを、応募前に一度書き出してみてください。
複数の求人を比べて職場の育成体制を見る
4つ目に、同じ職種の求人を複数並べて比べます。1社だけを見ていると、その会社の条件が業界の標準なのか、それとも珍しく良い(あるいは悪い)のかを判断できないためです。
比べる項目は、研修期間・資格取得支援・配属後の指導体制・離職率に関する記載の4つでよいでしょう。3社ほど並べると、書き方の差がはっきり見えます。育成に力を入れている会社ほど、研修内容を具体的に書く傾向があり、逆に「アットホームな職場です」といった雰囲気の説明ばかりが並ぶ求人では、教育の中身が読み取れません。
求人票を印刷するか、表計算ソフトに項目ごとの一覧を作ると、比較の作業がぐっと楽になります。
応募書類と面接で伸ばしたいスキルを伝える
最後は、選んだ理由を自分の言葉で伝える準備です。未経験採用では、いまできることより、入社後に伸びるかどうかが見られています。
伝えるときは、「手に職をつけたい」で止めず、どの技能をどれくらいの期間で身につけたいのかまで具体化してください。「3年後に介護福祉士を受験できるよう、現場での介護業務を続けながら実務者研修も受けたい」と話せれば、志望動機と定着の見込みを同時に示せます。
アルバイトで培った経験も、シフト管理や新人への指導、クレーム対応といった業務単位に分解すれば、職務経歴書に書ける材料になるでしょう。
面接の前に、志望する職種で使う技能を3つ挙げ、そのうち自分が近い経験を持つものはどれかを整理しておきましょう。
フリーターが手に職をつける仕事で迷ったらキャリアの軸を整理する
ここまで職種と基準を挙げてきましたが、それでも決めきれない場合は、情報が足りないのではなく、判断の軸が定まっていないと考えてみてください。求人を何十件見ても選べないのは、比べる物差しが自分の中にないためです。
軸を作るときは、やりたいことから考えると手が止まりやすいので、避けたい働き方から書き出す方法をおすすめします。夜勤は避けたい、人と話し続ける仕事は疲れる、座り仕事だと集中が続かないといった「避けたいこと」の裏側には、たいてい本人が大切にしている条件が隠れているものです。
手に職をつける仕事を選ぶ3ステップ
夜勤・長時間通勤・接客中心など、続けにくい条件を整理する
資格・実務経験・専門スキルのどれを積み上げたいか考える
研修・資格支援・指導体制・働き方を並べて判断する
自分ひとりで整理しづらいときは、20代の転職支援を専門にしているエージェントに相談する方法もあります。
たとえばツナグバは20代・未経験の支援に特化しており、利用者の90%が20代、平均年齢は25歳です。1人あたり平均10回以上の面談を重ね、これまでの経験や避けたい働き方を一緒に言葉にしながら、続けやすく手に職につながる職種へ絞り込みます。
求人紹介だけでなく、履歴書の添削や模擬面接まで含めて費用はかかりません。入社半年後の定着率は95.2%と公表されています。まずは15分程度の電話面談から始められるので、「職種を決めてから相談しよう」と気負わずに一度話してみてください。
フリーターは手に職につながる仕事を選んで正社員を目指そう
フリーターから手に職をつけるうえで大切なのは、資格を先に取ることでも、人気の職種を選ぶことでもありません。入った先で経験と資格が積み上がる仕事を選び、その働き方を数年続けられるかどうかです。
今日からできるのは、気になる職種の求人を3件そろえ、研修期間・資格取得支援・指導体制・働き方の4項目で見比べてみることです。
並べてみると、同じ「未経験歓迎」でも中身がまったく違うと分かります。そのうえで、3年後に手が届く資格から逆算して応募先を決めれば、選んだ理由を自分の言葉で説明できるようになるでしょう。
一人で軸を決めきれないときは、20代の転職支援に強いエージェントとの面談で、避けたい働き方から整理してみてください。手に職をつけるための最初の一歩は、求人を探すことではなく、自分が続けられる働き方を知ることです。
数年後につながる仕事を、一緒に選びませんか?
手に職をつけられる職種や資格が分かっても、自分が続けられる働き方や、経験が積み上がる求人を一人で見極めるのは難しいものです。ツナグバでは、避けたい働き方と将来像を整理し、20代・未経験から専門性を育てられる仕事を一緒に比較できます。
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手に職につながる仕事を無料で相談する
この記事を書いた人
この記事の監修
海老名 信行
取締役/COO
株式会社ツナグバ
大学卒業後、株式会社ギャプライズにてWebマーケティング支援の営業として、大企業を中心とした新規顧客開拓とリレーション構築に従事。
次に、株式会社サイファーポイントに取締役/営業責任者として参画。新規顧客開拓、DXコンサルティング、WEBマーケティング支援を経験。
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