試用期間中に退職しても、次の転職を目指すことはできます。ただし、短期離職の理由を聞かれる場面に備え、辞める事情と今後の働き方を整理することが大切です。退職できる時期は契約内容によって異なるため、まず手元の契約書を確かめたうえで、退職の判断と応募準備を進めましょう。
試用期間中に退職しても転職できる?

試用期間中の退職を考えたときは、辞めるための手続きと、次の仕事に応募するための準備を分けて整理すると進めやすくなります。ここでは、契約内容による退職の違いと、短い職歴を次の選考でどう扱うかを確認します。
試用期間中に辞めたいときの4ステップ
労働条件通知書・雇用契約書で、無期契約か有期契約かを確認する
仕事内容・職場環境・労働条件のどこに問題があるかを具体化する
配属・業務量・指導体制など、会社への相談で変えられる部分があるか確認する
生活費・退職時期・求人探し・次の職場で確認する条件を整理する
試用期間中でも退職することはできる
試用期間中でも退職はできます。期間の定めのない契約では、原則として退職の申し入れから2週間で契約が終了します。一方、有期契約を途中で辞める場合は、原則としてやむを得ない事由が必要です。会社との合意によって退職する方法もあります。
「試用期間が3か月」と書かれていても、それだけで3か月の有期契約とは限りません。労働条件通知書の「契約期間」欄と、就業規則の退職手続き、届出先を読み、希望日を上司や人事へ伝えます。引き継ぐ業務と貸与品も整理し、申し入れの日付や会社の回答を残しておくと、後の行き違いを防ぎやすくなります。
契約の種類によって確認する場所が変わるため、手続きの違いを表で比べておきましょう。
| 契約の状態 | 退職の考え方 | 手元で確認するもの |
|---|---|---|
| 期間の定めがない | 原則、申し入れから2週間で終了 | 契約期間欄・就業規則の届出先 |
| 期間の定めがある | 途中退職は原則、やむを得ない事由が必要。合意退職も検討 | 契約終了日・途中退職についての定め |
| 試用期間だけ分かっている | 試用期間の長さだけでは判断できない | 労働条件通知書・雇用契約書の契約期間欄 |
表の区分を確かめても判断できない場合は、契約書を手元に用意し、総合労働相談コーナーへ相談できます。無料で、面談または電話による労働問題の相談を受け付けています。
試用期間中の退職だけで転職できなくなるわけではない
短期間で辞めた経歴があっても、応募先の条件を満たす求人を探し、選考を受けることはできます。経験者向けの募集に限らず、「未経験可」「第二新卒歓迎」などの求人も見ながら、必要な経験や資格を個別に読み取ることが出発点です。
第二新卒の転職でも、名称だけで自分が対象だと判断しないようにします。求人票の必須条件と歓迎条件を分け、分からない点は採用窓口に問い合わせてください。経験が少ない場合は、仕事を覚えるために行ったことや、学生時代・アルバイトで続けた取り組みから、応募業務に関係する材料を選ぶと準備しやすくなります。
短期離職の理由を確認される可能性がある
面接では、在籍期間の短さに加え、入社時の希望と実際の仕事にどんな違いがあったかを聞かれる可能性があります。「自分には合わなかった」で終えず、担当業務や勤務時間など、退職を考えたきっかけを事実で説明できるようにします。
応募書類にも入社・退職の年月と会社名を正確に記載し、短い職歴をなかったことにしないことが大切です。自己都合退職の履歴書の記載例は「一身上の都合により退職」です。実際の退職区分に合わせて直し、詳しい事情は職務経歴書や面接で補足します。書式に迷ったら、ハローワークが公開する履歴書様式例や作成資料を利用できます。
参考:厚生労働省・ハローワークインターネットサービス『履歴書・職務経歴書の書き方』
試用期間中の退職が転職で不利になりやすい理由

短期離職があると、採用担当者が判断するための説明を補う必要が出てきます。働き続けられるか、どの業務を経験したか、問題にどう向き合ったかという観点から、質問されやすい点と準備しておきたい材料を整理します。
「また短期間で辞めるのでは」と懸念されることがある
採用する側が、同じ理由で再び辞めないかを気にする場合はあります。そのため、「今度は長く働きます」という約束だけよりも、前回と今回の職場選びで何を変えたかを示すほうが、判断材料を伝えられます。
たとえば配属後の仕事内容が想像と違ったなら、今回は配属予定部署と入社直後の担当業務を面接で尋ねます。説明を受けて納得した点を志望理由に含めると、応募までの考え方が伝わります。まだ確かめていない条件を「確認済み」と話す必要はありません。求人票から分かったことと、面接で質問したいことを分けておきましょう。
経験やスキルを判断してもらいにくい場合がある
在籍期間が短いと、売上などの成果が出る前に退職していることもあり、書類だけでは任せられる業務が伝わりにくくなります。実績を大きく見せるより、研修で学んだこと、補助として担当した仕事、一人で対応できた範囲を分けて書くことが大切です。
たとえば入力業務なら、使ったソフトと入力した情報、誤りを防ぐ確認方法を整理します。見学しただけの業務を担当経験として書かず、教わりながら進めたものにはその旨を添えてください。未経験の職種へ応募する場合も、報告の仕方や手順を守る行動など、次の仕事と共通する経験を選べます。
退職理由によって仕事への姿勢を確認されることがある
退職理由が前職の批判だけになると、何に困り、どう対応したのかが相手に伝わりません。「指導がなかった」と感じた場合も、質問する相手が決まっていなかったのか、質問しても回答を得られなかったのかを分けると、状況を説明しやすくなります。
相談や工夫をした事実があれば、相手と内容、結果を簡潔に添えます。相談できない事情があった場合に、架空の面談や改善提案を加える必要はありません。ハラスメントなどを自分の努力不足として説明し直すことも避け、実際に起きたことと、次の職場で必要な環境を落ち着いて伝えてください。
試用期間中に退職した場合の転職を成功させるポイント

転職活動では、退職理由だけを整えるより、経歴、応募先を選ぶ理由、入社後の希望をつなげて準備することが大切です。書類と面接で説明が食い違わないよう、事実の整理から言葉にする手順まで、具体例を交えて紹介します。
退職した理由を整理してから転職活動を始める
まず、入社を決めた理由、働いて分かった違い、退職を選んだ事情を時系列で書き出します。待遇と仕事内容など複数の理由があっても、仕事を続けるうえで最も大きかった点を軸にすると、面接の説明が散らばりにくくなります。
退職後に空白期間がある場合も、休養、家庭の事情、求職活動など、実際にしていたことを整理してください。学習や資格取得で埋めたように装う必要はありません。面接では当時の事情に続けて、現在働ける時間や応募準備の状況を話します。まだ解決していない制約は、無理に「問題ありません」とせず、勤務可能な条件として伝えましょう。
何から書くか迷ったら、カレンダーや当時の連絡を見て、入社から退職、現在までの出来事を並べます。そのうえで「なぜ辞めたか」と「今なぜ応募するのか」を別々に書くと、過去の説明だけで終わることを防げます。応募書類を相談窓口に持参する際も、このメモがあれば、事情を一から思い出しながら話す負担を減らせます。
退職理由は事実をもとに簡潔に伝える
面接で退職理由を聞かれたら、主な理由、具体的な状況、今後の希望の順にまとめます。たとえば、勤務時間が生活と合わなかった人なら、「勤務シフトと生活上の都合が合わず、継続が難しいと考えて退職しました。現在は勤務可能な時間帯を整理し、その範囲で安定して働ける仕事を探しています」と説明できます。
これは転職面接で使う例です。退職理由、勤務上の制約、現在の準備を自分の事実に置き換え、行っていない調整や学習は加えないでください。すべての事情を一度に話す必要はありませんが、追加質問に答えられるよう、経緯をメモにしておくと説明のずれを防げます。
話す内容を整理するときは、次の表で「過去の事情」と「今の行動」がつながっているかを見直してみてください。
試用期間中に退職した理由は3ステップで伝える
仕事・環境・条件のうち、継続が難しかった主な事情を伝える
実際の担当業務や働き方を、推測や他人への評価を交えず説明する
次の職場で重視する条件と、すでに行っている転職準備につなげる
| 順序 | 伝える内容 | 自分の事実に直す点 |
|---|---|---|
| 理由 | 継続が難しかった主な事情 | 仕事・環境・条件のうち何が大きかったか |
| 状況 | 実際の業務や働き方 | 推測や他人の評価を混ぜていないか |
| 今後 | 次の職場で重視する条件と準備 | 既に行ったことと、これから行うことの区別 |
3つの内容を整理したら、声に出して説明し、事情を知らない人にも経緯が伝わるかを確かめます。長くなる部分は、質問されたときに補足する内容へ分けましょう。
前職への不満だけで終わらせない
不満を無理に前向きな理由へ変えるより、困った状況を具体化し、今後どう働きたいかまで伝えることが大切です。会社全体や上司の人柄を評価する言い方を避け、自分が担当した仕事や受けた説明に絞ると、相手も事情を理解しやすくなります。
たとえば質問先が分からず業務が止まった経験なら、「次は困ったときの相談先を確認し、自分から進捗を報告して仕事を覚えたい」と今後の行動へつなげられます。この表現は面接で補足する場合の一例です。経験が当てはまらなければ使わず、自分が困った場面と実行できる行動に直してください。
次の会社選びで重視することまで伝える
志望理由には、前職で分かった希望と、応募先のどの点が合うと考えたかを含めます。「教育体制が整っているから」だけではなく、求人票に書かれた研修内容や、面接で聞いた配属後の指導方法を挙げると、会社選びの根拠が伝わります。
ただし、環境への希望だけを並べず、入社後に自分がどう取り組むかも添えましょう。まず基本業務を覚え、分からない点をその日のうちに整理するなど、今の経験から実行できる行動で構いません。短期離職からの転職では、条件を詳しく調べたうえで応募していることと、働く準備を進めていることの両方が説明の支えになります。
試用期間中に「このまま続けるべき?」と迷っている方へ
転職すると決めていない段階でも相談できます。
今の職場で困っていることを整理し、次の仕事を探す場合に重視したい条件を一緒に考えましょう。
✓ 次の会社で同じミスマッチを避けたい
✓ 短い職歴の伝え方を整理したい
✓ 未経験から応募できる求人を知りたい
相談無料・転職を決めていなくてもOK
試用期間中に「もう辞めたい」と感じた20代が確認したいこと

辞めたい気持ちがあっても、今の段階で判断してよいのか迷うことがあります。仕事に慣れる途中の難しさと、条件の相違や健康への負担を分けて捉えることが大切です。退職を決める前の確認事項と、次の職場でずれを防ぐ方法を整理します。
辞めたい理由が仕事内容・環境・条件のどこにあるか整理する
辞めたい理由は、「仕事内容」「職場環境」「労働条件」に分けると、何を変えたいのかが見えてきます。仕事内容なら担当作業、環境なら指導や相談の体制、条件なら勤務時間や給与というように、困った場面を書き出します。
複数にまたがる場合は、最も負担が大きいものから考えてください。仕事そのものは続けたいのに、質問する相手がいないことが負担なら、職種を変える以外の選択肢もあります。いつ、どの業務で困ったのかを記録し、改善してほしい内容を具体化すると、人事への相談でも次の求人探しでも話を進めやすくなります。
入社前に聞いていた条件と実際の働き方を確認する
条件の違いは、求人票だけでなく、労働条件通知書や雇用契約書と、勤務記録・給与明細を照らし合わせて整理します。契約時には、賃金や労働時間などの条件を明示する必要があります。
参考:厚生労働省『採用時に労働条件を明示しなければならないと聞きました。具体的には何を明示すればよいのでしょうか。』
労働基準法第15条では、明示された労働条件と事実が異なる場合、労働者は即時に契約を解除できるとされています。単に想像と違った場合と分け、どの明示内容に相違があるかを確かめることが大切です。
人事へは該当箇所と実際の状況を示して理由を尋ね、回答も残します。説明に納得できない場合は、資料を用意して労働相談窓口へ相談してください。
見落としを防ぐため、条件ごとに比べる資料を表に整理しました。手元にない資料は、人事や給与担当者へ交付・閲覧の方法を尋ねます。
| 確認項目 | 比べる資料 | 違いがあったときに確認すること |
|---|---|---|
| 仕事内容・勤務地 | 労働条件通知書/実際の配属・業務 | 一時的な研修なのか、今後も継続する配属なのか |
| 勤務時間・休日 | 契約書/シフト・勤怠記録 | 通常の勤務と繁忙期の違い、今後の勤務予定 |
| 給与 | 労働条件通知書/給与明細 | 試用期間中の条件、手当・控除の内訳 |
| 教育・相談体制 | 入社前の説明記録/現場の運用 | 指導担当者、質問方法、面談・相談の機会 |
比較した結果は「説明された内容・実際の状況・会社の回答」で残します。相違がある項目と、まだ説明を受けていない項目を分けると、相談先にも伝えやすくなります。
改善できる問題なのか退職したほうがよいのか考える
担当者の変更や業務量の調整で改善する余地があれば、相談先と見直す時期を決めて経過を見る方法があります。一方、心身の負担が強いときは、勤続期間を延ばすことだけを優先せず、受診や休養も含めて考えてください。
社内で話しにくい問題は、厚生労働省の案内から地域の総合労働相談コーナーを探し、勤務状況や相談した経緯を伝えられます。
退職前には、生活費と次の給与までの見通しも整理します。雇用保険の基本手当は、原則として離職前2年間に被保険者期間が通算12か月以上あることなどが要件です。特定の離職理由では別の要件があり、試用期間中の退職という情報だけでは受給可否は決まりません。過去の加入歴も伝え、住所地を管轄するハローワークに確認してください。
参考:厚生労働省・ハローワークインターネットサービス『基本手当について』
退職するなら次の職場で同じミスマッチを防ぐ
次の求人を選ぶ際は、今回困ったことを面接で尋ねる質問に変えます。
| 今回困ったこと | 次の会社で確認すること | 面接での質問例 |
|---|---|---|
| 仕事内容が想像と違った | 入社直後の担当業務 | 入社後は、まずどの業務から担当しますか? |
| 質問・相談しにくかった | 指導担当者・相談方法 | 業務を教わる担当者と、分からない場合の質問方法を教えてください |
| 勤務時間が合わなかった | 通常時・繁忙期の勤務 | 配属予定部署では、繁忙期に勤務時間はどのように変わりますか? |
| 勤務地・配属が想定と違った | 配属先・変更の範囲 | 入社時の配属先と、将来的な変更範囲を教えてください |
業務が想像と違ったなら「入社直後に担当する仕事は何ですか」、指導が不明確だったなら「業務を教わる担当者と質問の方法を教えてください」と、実際の運用を確かめます。
質問例は、採用担当者へ確認する場面で、自分が重視する項目に直して使ってください。回答が曖昧なら、内定承諾前に書面の条件と併せて再確認します。在職中に探せる場合は応募を並行し、退職日が決まってから無理のない入社日を調整しましょう。経験を振り返って確認項目を持つことが、短期離職後の転職を進める土台になります。
試用期間中の退職・転職に関するFAQ
最後に、試用期間中に辞める場合の転職の見通しと、自己都合退職についての疑問をまとめます。自分の契約内容と退職理由を分けて読み、手続きで確認する点と、応募時に準備する説明を整理するために役立ててください。
試用期間中に辞めても転職できますか?
転職を目指すことはできます。短い職歴も正確に記載し、退職した事情、現在の準備、応募先でどう働きたいかをつなげて説明しましょう。採用の判断は企業や求人によって異なります。
試用期間中に自己都合で退職することはできますか?
可能です。無期契約は原則として申し入れから2週間で終了します。有期契約の途中退職は原則、やむを得ない事由が必要で、会社との合意による退職も可能です。契約期間と就業規則を確かめてください。 参考:厚生労働省『退職、解雇、雇止めなど』
試用期間中の退職は次の転職で不利になりますか?
不利に働く場合はありますが、退職の事実だけで決まるわけではありません。継続して働けるかを確認されることを踏まえ、辞めた理由と次の会社選びで変えた点を具体的に伝えることが大切です。
試用期間中の退職を考えるときは、契約と働き方を確かめ、困っている理由を言葉にするところから始めましょう。転職では経歴を隠さず、次に必要な条件と準備を伝えることが大切です。一人で整理しにくい場合は、労働問題は公的窓口へ、求人選びや応募準備は転職支援サービスへ相談する方法もあります。
この記事を書いた人
石井 優花(いしいゆうか)
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Work Experience: 養護教諭
Hobby: 映画・ドラマ鑑賞、カラオケ、料理
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この記事の監修
海老名 信行
取締役/COO
株式会社ツナグバ
大学卒業後、株式会社ギャプライズにてWebマーケティング支援の営業として、大企業を中心とした新規顧客開拓とリレーション構築に従事。
次に、株式会社サイファーポイントに取締役/営業責任者として参画。新規顧客開拓、DXコンサルティング、WEBマーケティング支援を経験。
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