高卒の年収・手取りはいくら?20代の目安と給料を上げる仕事選び

この記事に書かれていること

高卒の賃金は年齢・雇用形態・職種などの条件をそろえて比較し、平均値と中央値の違いも踏まえて自分の位置を確認します。

額面から引かれる社会保険料・税金の仕組みと、年収250万〜400万円、月給18万〜20万円の手取り目安を解説します。

求人票の基本給・固定残業代・賞与・手当を見分け、教育体制やキャリアの広がりまで確認する仕事選びの方法を紹介します。

高校を卒業して働き始めると、同世代の平均年収と、自分の給与明細に印字された手取り額との差に驚くことがあります。自分の給料は低いほうなのだろうかと、不安になった人もいるでしょう。ただ、その開きの多くは学歴ではなく、比べている数字の中身から生まれています。

よく見かける平均は40代・50代まで含めた金額であり、しかも社会保険料と税金を引く前の額面です。年齢をそろえて見直し、そこから手取りを計算し直せば、現状を把握できるでしょう。

この記事では、高卒の年収・手取りの調べ方から、給与明細と求人票の読み方、年収を上げる仕事選びまでを徹底解説します。

目次

高卒の年収・手取りの確認方法

自分の給料が高いのか低いのかは、比べる相手を決めないまま数字だけを眺めても判断できません。厚生労働省の統計は年齢や雇用形態ごとに数字が分かれているため、どの条件で見るのかを先に決めておくと、自分の位置がはっきりします。

ここでは統計を読むときにそろえる条件と、平均という数字が持つくせを押さえておきましょう。

統計は年齢・雇用形態・職種などの条件をそろえて見る

高卒の平均としてよく出回る数字は、条件をそろえないと自分の目安になりません。

厚生労働省の令和7年賃金構造基本統計調査によると、高校卒(男女計)の賃金は月297,200円ですが、これは平均年齢46.8歳・平均勤続年数14.2年の人を含めた金額です。

同じ調査を年齢階級で区切ると、高校卒の20〜24歳は225,200円、25〜29歳は251,700円となり、年齢計とのあいだには5万〜7万円の開きがあります。

年齢階級 賃金(所定内給与額・月額)
~19歳 209,400円
20~24歳 225,200円
25~29歳 251,700円
30~34歳 276,200円
年齢計 297,200円

※高校卒・男女計。残業代や賞与を含まない所定内給与額であり、手取り額や年収ではありません。

出典:令和7年賃金構造基本統計調査の概況(高校卒・男女計)

もうひとつ気をつけたいのは、この調査で示されている「賃金」は所定内給与額を指しているという点です。

残業代も賞与も含まれておらず、税金・社会保険料を差し引く前の金額であるため、297,200円を12倍しても年収にはなりません。

自分の給料と見比べるときは、年齢をそろえた金額を参考にしてください。その金額に自分の残業代と賞与を足すと、正確に比較できるでしょう。

平均値と中央値の違いを知り、自分の状況と照らし合わせる

平均を下回っていても、それだけで自分の年収が低いと決まるわけではありません。平均値には一部の高い人に引き上げられる性質があり、ちょうど真ん中の人が受け取る金額とは一致しないからです。

実際、同じ賃金構造基本統計調査で一般労働者(男女計)を見ると、平均値340,600円に対して、低いほうから数えて半分の位置にある中位数は296,600円にとどまり、両者には44,000円の開きがあります。

つまり、平均との距離を測っても、自分の立ち位置は分かりません。転職で狙う条件を決めるときは、中位数のあたりを目指すのか、上位4分の1の水準まで引き上げたいのかを先に決めてください。目標にする水準が定まれば、見るべき求人の条件も自然に絞り込めます。

年収と手取りの違い

求人票に書かれた月給も、統計に並ぶ賃金も、社会保険料や税金を引く前の額面です。実際に口座へ振り込まれる手取りは、そこから1〜2割ほど少なくなります。

何がどれだけ引かれるのか、そして自分の給与明細のどこを見れば確かめられるのかを、順に押さえておきましょう。

控除の仕組みを理解する

額面から引かれるのは社会保険料と税金の2種類で、手取りはおおむね額面の8割前後に収まります。負担する割合は制度ごとに決まっており、給料が上がればその分だけ金額も増える仕組みです。

「社会保険」とひとまとめにすると条件を取り違えやすいので、次のように分けて見てください。

差し引かれるもの 2026年度の目安 注意点
健康保険料 東京都の協会けんぽは9.85%を労使で負担 料率は都道府県や健康保険組合によって異なる
子ども・子育て支援金 0.23%を労使で負担 2026年4月分から徴収開始
厚生年金保険料 18.3%を労使折半 本人負担は原則9.15%
雇用保険料 一般事業の労働者負担は5/1,000 農林水産業・清酒製造業・建設業は異なる
介護保険料 1.62%を労使で負担 原則40歳以上65歳未満が対象
所得税 課税所得に応じて計算 扶養人数や各種控除によって変わる
住民税 前年の所得をもとに計算 自治体や控除、前年所得によって変わる

※健康保険・子ども・子育て支援金・介護保険の本人負担額は、標準報酬月額と端数処理によって変わります。

出典:協会けんぽ 令和8年度の都道府県単位保険料率/日本年金機構 厚生年金保険の保険料/厚生労働省 令和8年度雇用保険料率のご案内/総務省 個人住民税

この料率をもとに、東京都で協会けんぽに加入する40歳未満・扶養親族なしの会社員を想定して計算すると、手取りの目安は次のとおりです。

額面年収 年間手取りの概算 月平均の概算
250万円 約195万~205万円 約16.3万~17.1万円
300万円 約235万~245万円 約19.6万~20.4万円
350万円 約273万~283万円 約22.8万~23.6万円
400万円 約310万~320万円 約25.8万~26.7万円

※2026年8月時点の制度による概算です。東京都、協会けんぽ、40歳未満、扶養親族なし、給与収入のみを想定しています。賞与、標準報酬月額、住民税、各種控除などにより実際の金額は変わります。

※上記の料率と、給与所得控除・基礎控除(令和8年分)をもとにした試算です。ほかの所得控除や住民税の調整控除は含めていません。

求人票の月給から生活を組み立てるときは、額面をそのまま使わず、8割を掛けた金額を家賃や固定費と並べてみてください。

自分の給与明細の項目から確認する

自分の手取りを正確に確かめられるようになるためには、毎月の給与明細の内容を正しく理解する必要があります。

明細は「支給」「控除」「勤怠」の3つに分かれており、支給欄の総支給額が額面、控除欄の合計を差し引いた差引支給額が手取りにあたります。

同調査によると、高校卒の新規学卒者の賃金は月207,300円(令和7年・男女計)なので、社会人生活は総支給18万〜21万円あたりからスタートすると考えましょう。

以下で、月給18万円と20万円について、控除の内訳と手取りの目安を作成したので、参考にしてください。

項目 月給18万円 月給20万円
健康保険料+子ども・子育て支援金 約9,070円 約10,080円
厚生年金保険料 16,470円 18,300円
雇用保険料 900円 1,000円
所得税(概算) 約1,000円 約1,600円
手取りの目安 約15.3万円 約16.9万円

※東京都・協会けんぽ・40歳未満・扶養親族なし・入社1年目(住民税なし)で試算した目安。

覚えておきたいのは、入社1年目と2年目で手取りが変わることです。住民税は前年の所得に対して課税されるため、高校を卒業してすぐの1年目は原則として引かれません。

2年目の6月分の給与から天引きが始まり、月給18万円で1年働いた場合なら月5,000〜6,000円ほど差し引かれる計算です(東京都・扶養親族なしで試算)。

1年目の手取りを基準に家賃や固定費を決めてしまうと2年目に窮屈になるので、住民税が加わる前提で組んでおくと安心です。

高卒の20代が求人票で確認したい給与・手当・昇給

手取りの計算ができるようになったら、次は求人票を確認しましょう。

同じ「月給25万円」でも、その金額がどう組み立てられているかによって、受け取る額も数年後の伸び方も変わります。月給の内訳の見方と、地域や職種による差の埋め方を確認しておきましょう。

月給だけでなく、賞与・手当・残業代の扱いを確認する

求人票では、月給の金額より先に「その月給に何が含まれているのか」を見てください。固定残業代が含まれている場合、表示された月給のうち一定額はあらかじめ残業代として設定されたもので、基本給はその分だけ低くなります。

基本給は賞与や退職金の算定基礎になる場合があるため、同じ月給でも基本給の割合が低ければ、年収ベースでは差が開きかねません。

固定残業代を月給に含めるとき、若者雇用促進法に基づく指針では次の3つをすべて明示するよう求められています。

確認項目 求人票の記載例
固定残業代を除いた基本給 基本給212,000円(固定残業代を除く)
固定残業代の金額と対象時間 営業手当38,000円を20時間分の固定残業代として支給
超過分を追加支給する旨 20時間を超えた時間外労働分は、割増賃金を追加で支給

出典:厚生労働省「固定残業代を賃金に含める場合は、適切な表示をお願いします」

3つのうちどれかが抜けている求人票を見つけたら、応募前か面接の場で「固定残業代を除いた基本給はいくらか」「固定残業代は何時間分か」を確かめましょう。

同資料によると、ハローワークに寄せられた求人票と実際の労働条件の相違に関する申出のうち、もっとも多かったのは賃金に関する内容でした。

賞与についても「年2回」の記載だけで判断せず、前年度の支給実績が何か月分だったかまで聞いておくと、年収の見通しが立てやすくなります。

地域・職種・勤務時間の違いを踏まえて比較する

求人票を比較するときは、金額を比べる前に勤務地・産業・所定労働時間をそろえてください。この3つが違ったままでは、金額の高低が仕事の中身や自分の実力を映さなくなるためです。

令和7年賃金構造基本統計調査では、都道府県別の賃金で全国計340,600円を上回ったのは東京都・神奈川県・愛知県・大阪府の4都府県だけで、最も高い東京都は418,300円でした。

産業別に見ても、最も高い「電気・ガス・熱供給・水道業」の444,000円に対し、最も低い「宿泊業、飲食サービス業」は277,200円と、166,800円の差があります。

また、会社の規模による違いも見逃せません。同調査では、大企業385,100円、中企業326,200円、小企業305,600円と、規模が大きいほど賃金が高い傾向にあります。

ただし、都市部の求人は家賃も高いため、月給の差がそのまま生活の余裕につながるとは限りません。比べるときは月給と勤務地近隣の家賃相場と並べてみてください。

高卒から年収を上げるための仕事選びのコツ

判断基準が明確になったら、次は「どの仕事を選ぶか」です。20代のうちは、提示された月給の差よりも、役職に就くまでの年数や手当なども、生涯年収に大きく影響します。経験が積み上がる仕事の見分け方と、転職のときに給与以外で確かめたい点を整理しておきましょう。

経験を積みやすい仕事と、求められるスキルを確認する

20代の仕事選びでは、提示された月給よりも、経験年数がそのまま評価につながる仕事かどうかを優先してください。

賃金構造基本統計調査で勤続年数階級別の賃金を見ると、勤続0年の274,500円に対して5〜9年で312,500円、10〜14年で333,600円と段階的に上がっています。

年齢による上昇も混ざった数字ではありますが、伸び方には会社の規模で差があり、大企業が勤続0年292,600円から10〜14年367,600円まで75,000円上がるのに対し、中小企業の伸びは56,600円(255,200円→311,800円)にとどまりました。

この差は、任される仕事の幅から生まれる部分が大きいといえるでしょう。

同じ「未経験歓迎」の求人でも、決められた作業を繰り返す仕事と、数年かけて工程の判断や後輩の指導まで任される仕事とでは、3年後に職務経歴書へ書ける中身がまったく違います。

求人票では「必要な経験・スキル」欄と、入社後にどこまでの業務を担当するかの記載を見比べ、面接では「入社3年目の社員がいま何をしているか」を聞いてみましょう。

転職では給与だけでなく教育体制とキャリアの広がりを見る

転職では、給与だけではなく、教育体制とキャリアの広がりを確認しましょう。面接では、以下の点を質問してください。

  • 研修期間の長さ
  • 指導役が決まっているかどうか
  • 資格取得の費用補助があるか
  • 社内で職種を変えた人がいるか

この4つに具体的な答えを返せる会社は、育てる前提で採用していると考えられます。

教育体制のない会社では社内だけで通用する手順に慣れるだけで終わり、次に転職しようとしたときに職務経歴書へ書ける経験が増えていない、という事態も起こります。

転職先を検討する際は、自分が入社してスムーズに業務に入っていけるか、キャリアビジョンが描けるかという2点を意識してください。

高卒・未経験が条件の良い仕事を探す方法

見るべき条件が決まったら、あとは探し方の問題です。これまでの経験の使い方と、面談での希望の伝え方を整理しておきましょう。

アルバイトや学校生活の経験から、続けられる仕事の条件で検索する

求人を探すときは、職種名からではなく「自分が続けられた条件」から入ると外れにくくなります。高卒・未経験向けの求人は「未経験歓迎」でひとくくりにされるため、職種名だけでは働き方の違いを読み取れないからです。

しかも、仕事が続かなかった理由は業務内容そのものより、勤務時間帯・人との関わり方・忙しさの波といった働き方の側にあることが少なくありません。

そこで、アルバイトや部活動で続いた経験を、求人票の条件の言葉に置き換えてみてください。

これまでの経験 取り出せる強み・特徴 求人票で確認する条件
飲食店のホールを2年続けた 初対面の人と話す力、混雑時の段取り 来客対応の有無、繁忙時間帯、チームの人数
部活動で3年間、朝練に通った 決まった時間に動く習慣、継続力 交代制・固定シフトの違い、始業時刻
倉庫の仕分け作業を続けた 手順を守り、一人で集中して進める力 個人作業と共同作業の比率、作業手順の明確さ

置き換えた条件は、そのまま求人サイトの絞り込みにも、応募書類の自己PRにも使えます。学歴の欄に書けることが少なくても、「なぜ続けられたのか」を条件の形で説明できれば、採用側にとっては十分な判断材料になるでしょう。

面談で収入の希望を職種・働き方・将来像に整理する

転職エージェントとの面談では、「年収を上げたい」と伝えて終わらせず、いつまでに・いくら・何のために、の3点まで分解して伝えましょう。

希望額だけを共有すると、固定残業代を多く含んだ月給の高い求人まで候補に入り、労働時間が増えるだけの転職になりかねません。

面談での伝え方 求人の絞り込みに使えるか
「年収を上げたいです」 金額も時期も決まらないため、絞り込めない
「2年以内に手取りを月22万円にしたい。いまは17万円で、家賃6万円を払うと貯金が残らないため」 必要な額面・時期・優先順位が決まり、求人を絞れる

ツナグバでは、20代・未経験の人と積極的に面談しています。自分のビジョンを言語化し、収入の希望を職種や働き方の条件へ置き換えるところから始まります。気になる人は、ぜひ活用してください。

高卒の年収と手取りを理解して、自分に合う仕事を選ぼう

まずは今月の給与明細を開いて、総支給額と差引支給額、控除欄の内訳を書き出してみましょう。次に、気になる求人票をひとつ選び、基本給と固定残業代を分けて計算し直してみてください。

この2つを済ませてから相談に進めば、面談は「年収を上げたい」から一歩進んだ、条件の話になります。

20代・未経験の転職を専門に支援しているのがツナグバです。求人票の読み方から一緒に整理したい方は、気軽に相談してみてください。

給与の見方を整理したら、自分に合う仕事選びも相談してみませんか?

年収・手取りの目安が分かっても、どの求人なら収入と働き方の希望を両立できるかは一人ひとり異なります。ツナグバでは、求人票の給与内訳や教育体制を一緒に確認し、20代・未経験から目指せる仕事を整理できます。

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この記事の監修

海老名 信行

海老名 信行

取締役/COO
株式会社ツナグバ

大学卒業後、株式会社ギャプライズにてWebマーケティング支援の営業として、大企業を中心とした新規顧客開拓とリレーション構築に従事。
次に、株式会社サイファーポイントに取締役/営業責任者として参画。新規顧客開拓、DXコンサルティング、WEBマーケティング支援を経験。
プロフィール紹介

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