高卒は仕事を選べないって本当?仕事を選ぶヒントと業界ガイド|20代未経験の転職ならツナグバ

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企業が社員を採用するにあたって、対象を大学卒以上に限定する行為は、法律違反にはあたりません。
人気の高い企業や職種での採用において、応募者が増えすぎないようにするために学歴で制限することはよくあります。大企業に入りたいのに応募すらできないという現実を知り、高卒では仕事が選べないと感じてしまう人も多いのではないでしょうか。

この記事では、高卒だと仕事が選べないと言われている理由、高卒が活躍できる業界、高卒を積極採用している仕事の特徴についてご説明いたします。進路を考える上での参考にしてください。

目次

 高卒だと仕事を選べないと言われる理由

「高卒だと仕事が選べなくなるから進学しなさい」といった言葉は、特に昭和生まれの人たちからよく聞きます。どうしてこのようなイメージを持たれているのでしょうか。

ここでは3つの理由について解説いたします。

高卒だと応募できない求人があるから

就職活動における学歴差別が話題になる時がありますが、そのほとんどが学歴差別ではなく、学歴フィルターのことです。

これは、出身大学を偏差値などで評価して線引きし、学生を足切りすることを指しており、学校のランクで人を評価する企業の姿勢がしばしば問題になっています。

一方で、高卒を採用対象から外すという行為は、過去の経験や資格の有無と同じように、仕事への適性を図る指標として認められているため、違法ではありません。応募者が殺到する人気企業や人気職種は応募者を減らすためのフィルターとして、学歴での応募制限を設けることが多いです。

大学や専門学校への進学率は年々上がっており、大学・短大への進学率は約60%、専門学校も併せると80%を越えており、専門知識を得てから就職するという傾向が強くなっています。

したがって、高卒で就職することを選ぶ人は学ぶ行為が苦手だと思われることもあり、入社後に知識の習得が必要な職種には向いていないと思われる一因となっています。

高卒だと出世することが難しいから

高卒で大手企業に入社できたとしても、出世することが難しいため、管理職を目指すには不利であると言われています。

一因として、総合職と一般職といったような制度が決まっており、給料制度や職域などの条件が異なっている人事制度を採用している場合があげられます。総合職はもともと管理職候補という位置付けであり、ゼネラリストとしての経験を求められるのに対し、一般職はスペシャリストとしてひとつの業務の専門性を高める職種とされており、一般職に高卒の新卒社員が配属されているからです。

例え制度を設けていないとしても、大卒以上を管理職候補として捉えている企業は多いようです。厚生労働省が実施した「令和5年賃金構造基本統計調査」の結果をみると、昇給率にかなり差があることが伺えます。

 軽作業や肉体労働に従事している人が多いから

厚生労働省が行った調査「 令和5年度「高校・中学新卒者のハローワーク求人に係る求人・求職・就職内定状況」によりますと、管理職、専門・技術職、事務職の合計求人数が79,343人であるのに対して、工場などでの生産工程、輸送・機械運転、建設運搬業の合計求人数が239,713人であり、約3倍となっています。

軽作業や肉体労働に関する求人数が圧倒的に多いため、仕事が選べないと考える人が多いようですが、管理職、専門・技術職、事務職への就職者数は28,626人に留まっており、求人数の約36%でしかないことを考えると、高校生には職種に対しての選択肢はある状況だと考えられます。

高卒社員が活躍している業界

少子化の影響もあり、若手社員の人手不足は深刻化しています。厚生労働省が行った調査「 令和5年度「高校・中学新卒者のハローワーク求人に係る求人・求職・就職内定状況」によりますと、高卒の有効求人倍率は平成24年から上昇傾向にあります。また、いわゆるIT業界と言われている情報通信業でも求人数は前年比で7.8%増加しており、高卒社員が活躍している業界の幅は広がる傾向にあることも読み取れます。

ここでは、特に高卒の新卒採用を積極的に行っている業界についてご紹介いたします。

製造業界

令和5年度の求人数は142,022人であり、業界別では最大の求人数となっています。前年比では19.1%増になっているにも関わらず、実際に就職したのは56,281人であり、前年から2.5%も減っています。

AI導入による自動化が進んでいる業界ではありますが、工場などの製造現場での需要は高いです。円安の影響もあり、国内生産を強める傾向にあるのも追い風となっています。

建築・土木業界

令和5年度の求人数は81,102人であり、業界別では2位となっています。前年比では8.1%増になっているにも関わらず、実際に就職したのは11,237人であり、前年から8.9%も減っています。

国土交通省の調査によりますと、建設業界は、平成不況の影響を大きく受けて、平成22年(2010年)には41兆9282億円(政府部門17兆9820億円、民間部門23兆9462億円)と、平成4年(1992年)の半分の水準にまで落ち込みました。その結果、建設業就業者はピーク時の685万人から令和3年(2021年)には485万人にまで減少してしまったため、令和においては高齢化が深刻な課題となっています。

卸売・小売業界

令和5年度の求人数は51,933人であり、業界別では3位となっています。前年比では12.1%増になっているにも関わらず、実際に就職したのは15,193人であり、前年から12.3%も減っています。

レジの自動化などのAI導入により効率化が進んでいる業界ではありますが、組織の活性化のために若年層の採用ニーズは高い状況が続いています。

医療・福祉業界

令和5年度の求人数は44,489人であり、業界別では3位となっています。前年比では3.4%増になっているにも関わらず、実際に就職したのは9,867人であり、前年から10.7%も減っています。

特に介護業界の人手不足は深刻で、未経験者の積極採用が続いています。仕事をしながらでも介護系の資格にチャレンジしやすいことも大きな特徴です。

積極的に高卒採用を行う仕事の特徴

 積極的に高卒の新卒採用が行われている仕事は、人手不足であるという消極的な理由ではなく、根拠のある仕事も多く存在しています。

ここでは、積極的に高卒採用を行う仕事の特徴について説明いたします。

筆記試験が得意である必要のない仕事

進学をするための学業が得意であることは、事務作業や研究開発職などには活かせる長所になり得ますが、全ての職種において必要となる訳ではありません。手先の器用さであったり、体力的な強さといった能力が必要とされる職種においては、積極的に高卒採用が行われています。 

実務訓練(修行)を要する仕事

料理人や大工、左官、伝統工芸の技師などの専門職は、実務経験を積むことで技能を習得していく傾向が強いため、柔軟な吸収力がある若い頃から仕事を始めた方がよいと考えられてきました。いわゆる下積み・修行という世界は時代にそぐわなくなってきてはいますが、技術の習得という意味では早く始めた方が有利であることは変わりません。

学歴よりも資格が優先される仕事

保育士や介護士などだけではなく、行政書士などの高度な国家資格でも学歴に関係なく資格を取得することができます。有資格者が活躍している業界・職場は学歴を問われることはほとんどありません。

まとめ

高卒だと仕事を選べないと言われはじめたのは、日本が高度成長期に入り、進学して大手企業に就職することこそが成功者になるという価値観が浸透したからだと考えられます。

しかし今回調査してみると、高卒という学歴のみで仕事を選べなくなるということはほとんどありません。大企業への就職チャンスが減ったり、出世が難しいという側面以外にはほとんど影響がないことがわかりました。AIが世の中を変えていく時代の流れの中で、ITリテラシーは今後必須事項になっていくことが予想されますが、それは学歴とは直接関係ありません。

高校生の段階で自分が進みたい道がはっきりしているのであれば、世間の声に惑わされることなくチャレンジしてほしいです。

●参考資料
令和5年賃金構造基本統計調査 結果の概況|厚生労働省 (mhlw.go.jp)
【修正版】2022年09月26日【全建】第5回個人事業者等に対する安全衛生対策のあり方に関する検討会 (mhlw.go.jp)

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